末期癌(がん)で余命1 ヶ月と宣告されても回復するケースがある。症状や諦めない選択肢とは

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医師から「あなたは末期がんで、余命1ヶ月です」と宣告されたら、目の前が真っ暗になってしまうかもしれません。ですが諦めることなく、今どのようにすべきかを探すことが大切です。

また、身内や知人が末期がんだったら、どのように対応すべきかも知っておく必要があります。本記事では、末期がんの進行や経過、余命宣告された際の選択肢など、私たちが考えなくてはならない問題をご紹介します。

末期癌(がん)余命1ヶ月から終末期の症状とは?

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がんが進行しても、患者の状態はしばらくの間保たれています。しかし、死亡が近づく約1ヶ月の間に、急に悪化するのが癌の特徴です。さらに終末期になると、症状も著しく変わります。

ここでは余命1ヶ月から終末期にかけての症状とその経過を、月単位、週単位、日単位、時間単位で解説します。

余命1ヶ月には症状が顕著に現れる|月単位

死亡する前の1ヶ月間とは、がんが体内で広範囲に進行し、生命を維持する体の機能が著しく低下している状況を指します。元気だった人が急に病気を抱えているように見えるのはこのためです。

この最後の1ヶ月間で顕著に現れる症状は、病気の進行と共に個人差はありますが、以下のような特徴があります。

  • 食事と水分摂取の減少
  • 極度の倦怠感
  • 呼吸困難
  • 疼痛
  • 意識レベルの変化
  • 心理的・精神的な変化(不安・恐怖・悲しみなど)

特に、がんの進行による消化器系の障害、便秘、嘔吐、嘔気などが影響し、食事の量や水分を摂取する量が著しく減少します。そのため、栄養状態の悪化や脱水症状が生じることもあるかもしれません。

この期間中のケアは、患者の痛みや不快感の緩和、心のケア、そして患者とその家族が残された時間をできるだけ質の高いものにするためのサポートが中心となります。

終末期の症状・経過|週単位

亡くなる約2週間前になると、がんの進行やその他の身体的要因、薬物の影響などによって、患者にせん妄が発症することがあります。

せん妄とは、急に発症する意識障害の一つで、患者の認識、注意力、思考、意識水準が一時的に乱れる状態のことです。脳の神経伝達物質のバランスが崩れた状態が一因とされています。

また約1週間前になると飲み込む力がなくなり、体力や筋力の低下が急速に進行します。そのため、心臓や腎臓の機能衰退にもつながります。

長時間眠るようになり、覚醒時でも活動性が著しく低下するのもこの時期です。

この時期のケアとしては、患者が快適に過ごせるように症状の管理に重点を置きます。せん妄に対しては原因に応じた治療を行い、可能な限り患者が安心して過ごせる環境を整えることが重要です。

終末期の症状・経過|日単位

日単位とは、数日から1週間程度のことを指します。この時期になると意識がはっきりしない状態が見られます。さらに話す力が弱く会話することが難しくなり、非言語的(ジェスチャーなど)なコミュニケーションが主となるケースが多いです。

呼吸のパターンに変化が見られ、ときには呼吸が深くなったり浅くなったり、一時的に停止する呼吸パターン「チェイン・ストークス呼吸」が見られることがあります。

さらに呼吸がうまく行えない影響により、皮膚が冷たくなって青紫色に変色する「チアノーゼ」が出現します。

終末期の症状・経過|時間単位

時間単位とは、数時間から1日程度を指します。さらに意識が低下し、反応がほとんどなくなることが多いです。尿の量が減少し排尿が少なくなったり体温の調節が難しくなったりします。

また、ゴロゴロとした音がする「死前喘鳴」が現れることがあります。これは飲む力がなくなり、上気道の内部に唾液が溜まることが原因です。

死亡する間際の意識はほとんどなく、苦痛も感じません。眠っている状態ではありますが、聴覚は最後まで残っていると言われているため、家族が声をかけることで反応することがあります。

最期まで呼びかけることで、家族にとっても身内の死を受け入れる心の準備ができます。

末期癌で余命宣告された
家族・本人の選択肢

医師から末期癌と余命宣告された場合、家族や本人が直面する選択肢として考えられるのは、大きく分けて「完治を目指す」「延命治療を行う」「緩和ケアを行う」の3つです。

完治を目指す

この選択肢は、医学的な可能性がまだあると考えられる場合や、新たな治療法が臨床試験段階にあるときに選ばれることがあります。

高度な治療を受けることで病気の進行を抑え、可能な限りの生存期間の延長が可能になるかもしれません。また、まれではありますが、完治を目指すことができます。

しかし、副作用や身体への負担が大きいだけではなく、治療が成功する保証はありません。完治を目指すなら家族との相談や、大病院へ転院することも視野に入れておく必要があります。

延命治療を行う

延命治療とは、生命を少しでも長く維持することを目的としている方法のことです。痛みや他の症状を管理しながら、人工呼吸器の使用、栄養補給、抗がん剤治療などを用いて行います。

延命治療は患者と家族がもう少し時間を得るために重要な選択となることがあります。しかし、金銭面・生活の質への影響も考慮する必要もあるでしょう。

緩和ケアを行う

緩和ケアは末期癌患者の痛みや苦痛を軽減し、患者とその家族の生活の質を向上させる(QOL)ことを目的としています。

目的は病気の治療から症状の管理へと移り、患者ができるだけ快適に過ごせるよう支援することです。

緩和ケアは病院での治療とは異なり、在宅ケアやホスピスで提供されることが多く、心理的、社会的、スピリチュアルなサポートも含まれます。

これらの選択肢を検討する際には、患者本人の気持ち、家族の意見、医療チームによるアドバイスが重要です。

さらに患者本人の価値観や希望、現在の健康状態、治療の利点とリスクを総合的に考慮し、最適な決定を下しましょう。

緩和ケア病棟の入院は1ヶ月が限度

緩和ケア病棟は施設によって方針が異なりますが、長期療養を目的としていないため、一般的には1ヶ月とされています。そのため、自宅での緩和ケアを行う家族が多いようです。

参考:厚生労働省|緩和ケア

末期癌から回復できる?
がんのステージを解説

医師から末期がんと告げられても諦める必要はありません。癌になったとしても治る可能性を持つことが大切です。

そのためには、末期がんの定義や4つのステージの情報を知っておくことを推奨します。

末期癌の定義とは

末期がんとは、がんが原発部位から他の臓器や組織に転移している状態を指します。がん細胞が体内で広がり、一つ以上の新たな部位に影響を及ぼしているのが特徴です。

治療方法が見つからない場合は、余命宣告をされるケースがあります。そのため、末期がんの焦点は症状の緩和、生活の質の向上、可能であれば生存期間の延長に置かれます。

癌には4つのステージがある

癌には4つのステージがある_画像<ステージ1>

ステージ1は、がんの初期段階を示しています。この段階では、がんは比較的小さく原発部位に限定されており、周囲の組織やリンパ節には広がっていない状態です。

ステージ1のがんは、治療の成功率が比較的高いとされています。

<ステージ2>

ステージ2は、ステージ1よりも進行していますが、まだ比較的初期の段階であることを示します。

ステージ2のがんは原発部位に留まっていることが多く、少しサイズが大きくなっているか、または周囲の組織や近くのリンパ節に広がり始めている可能性があります。

ステージ2のがんでも、治療の成功率は比較的高いとされています。しかしステージ1に比べると複雑な治療が必要です。

<ステージ3>

ステージ3は、がん細胞がより進行している状態を示します。この段階では、がんは原発部位からさらに広がり、リンパ節への転移も見られます。また、がん腫瘍のサイズが大きくなるのが特徴です。

<ステージ4>

ステージ4とは末期がんとも呼ばれ、がんが原発巣を超えて他の臓器に転移している状態を指します。ステージ4と宣告された場合は、完治するのが難しいとされています。

末期がんと余命宣告されたときの生存率は下記で紹介しているので、ぜひご覧ください。

末期癌と余命宣告された際の生存率

生存率とは、余命宣告から5年間生き延びる患者の割合のことです。しかし、末期がんの患者に対する生存率は、がんの種類によって大きく異なるため、一般的な数字を提供することは難しいです。

さらに末期がんと診断され余命宣告を受けた際の生存率は、がんの種類、患者の年齢、健康状態、がんの転移の程度など、多くの要因によって異なります。

一般的に、末期がんの生存率は低いとされていますが、近年の治療技術の進歩により、以前に比べて生存期間が延びているケースもあります。

余命を算出する「生存期間中央値」とは

生存期間中央値とは、自分と同じ病気・治療法を受けている患者を集め、余命を算出する方法です。

例えば50人同じ患者を集め、一番生存が短かった方と一番生存が長かった方の中央値を算出すると、25番目の人が中央値となります。過去のデータに基づき、医師は余命〇〇ヶ月と判断することが多いです。

癌患者に対して行う代表的な
4つの治療方法

治る見込みのある患者に対して、以下の4つの治療法を提案されることがあります。ここではそれぞれ「癌手術」「放射線療法」「抗がん剤治療」「免疫療法」に関して詳しく解説します。

癌治療①手術

手術治療は、がん細胞を物理的に取り除く方法です。

がんの種類や進行状態、患者の健康状態などに応じて、がんのみを取り除く局所切除や、がん周辺の健康な組織やリンパ節を含めて広範囲に切除する根治手術などが行われます。

早期のがんであれば、手術によって完治することもありますが、進行がんや再発の恐れが場合は他の治療法と組み合わせて行われることが一般的です。

癌治療②放射線療法

放射線療法は、がん細胞を破壊するために高エネルギー放射線を利用する治療方法です。がん細胞のDNAを損傷させ、増殖を抑えたり死滅させたりします。

局所的な治療で、手術が困難な場所にあるがんや手術後のがん細胞の残存を防ぐ目的で使用されることがあります。

また、緩和治療として痛みを和らげたり、がんによる他の症状を軽減するために用いられたりすることもあるでしょう。ただし痛みを伴わない代わりに副作用が出る可能性があります。

癌治療③抗がん剤

抗がん剤治療は、がん細胞の成長や分裂を阻害するための薬剤を用いた治療法です。抗がん剤は、がん細胞だけでなく正常な細胞にも影響を与えるため、副作用を引き起こしてしまうケースがあります。

広範囲に転移したがんや、手術や放射線療法だけでは治療が難しい場合に用いられることが多いです。近年では、がん細胞特有の特性を標的とする標的治療薬も開発されています。

癌治療④免疫療法

免疫療法は、患者自身の免疫システムを強化または調節し、がん細胞を攻撃させる治療法です。

がん細胞は、免疫システムからの攻撃を逃れるために様々な戦略を用いますが、免疫療法によってその逃避機構を破壊し、免疫細胞ががん細胞を認識して攻撃するようにします。

免疫療法には阻害薬やCAR-T細胞療法などがあり、特定のタイプのがんに対して効果を示しています。

参考:国立研究開発法人国立がん研究センター|免疫療法

末期癌に関連するよくある質問

末期がんに対して、どのような心構えをすれば良いのかをご紹介します。

末期がんの死の兆候はありますか?

末期がん患者は活動量の減少、食欲不振・体重減少、呼吸の変化、痛み、せん妄、皮膚の変化、エネルギーの減少などの症状が現れます。これらは死に近づいている兆候です。

死を受け入れるために、家族と本人がどう過ごすのかを考える必要があるでしょう。

末期がんになると顔つきは?

末期がんの患者の顔つきや外見に変化が見られることがありますが、これは個人差が大きく、がんの種類や体の他の部分に及ぼす影響によっても異なります。

以下に挙げるのは、一般的にみられる可能性のある変化の例ですが、すべての方に当てはまるわけではありません。

  • 食欲不振や栄養吸収の問題で顔が痩せこけて見える
  • 顔色が蒼白・黄色っぽく見えることがある
  • 目の周りにくぼみが生じる
  • 皮膚の弾力性が失われ、しわが増える
  • 痛みや不安、疲労感などにより、顔つきが硬くなる

これらの変化は、末期がん患者が直面している身体的および精神的な苦痛の反映です。患者とその家族にとっては非常に辛い経験となります。

重要なのは外見の変化を超えて、患者の尊厳を尊重し、愛情やサポートする気持ちを持ち続けることが大切です。

余命1ヶ月と言われたら何をすべきですか?

余命1ヶ月と言われたら、残された時間を家族や友人と共に過ごすことを最優先にします。一緒に過ごすことで、心に残る忘れられない思い出を作れるでしょう。

また、大切な人々に対して心からの感謝や愛情を表現し、言い残したことがあればそれを伝える機会を設けることをおすすめします。

緩和ケアを受けると平均余命は変化する?

緩和ケアに関する研究は、患者の生活の質を向上させることに重点を置いているため、平均余命の延長を主な目標としていません。

しかし、いくつかの研究では、緩和ケアを早期から受けることが患者の生活の質を向上させるだけでなく、場合によっては余命を延長する可能性があることが示唆されています。

完治しやすいがん・治りにくいがんは?

乳がん、子宮がん、前立腺がんは早期発見が多く、治療技術の進歩により比較的治りやすいがんと言われています。

一方、肺がん、肝臓がん、膵臓がんは、比較的治療が困難ながんとされています。症状が現れにくく発見が遅れがちであり、すでに進行した状態で発見されることが多いからです。

末期癌から生還した芸能人はいますか?

以下ではステージ1から末期がんまで、がんを公表した芸能人を紹介します。

  • 北斗晶さん(乳がん)
  • 山田邦子さん(乳がん)
  • 生稲晃子さん(乳がん)
  • 山川豊さん(肺がん)
  • 青木さやかさん(肺がん)
  • 中村獅童さん(肺腺がん)
  • 堀ちえみさん(舌がん )
  • 桑田佳裕さん(食道がん)
  • 三谷幸喜さん(前立腺がん)

上記の方以外にも多くの芸能人ががんを患って復活しています。

芸能人ががんなどの重い疾患を公表する理由は多岐にわたりますが、がんを公表することで病気に対する社会的な認識や理解を深め、早期発見や予防の重要性を広めるといったことが挙げられます。

末期癌の余命宣告されても
治る見込みがある

末期がんと診断された場合でも、最新の医療進歩により治る可能性があります。特にターゲティング療法や免疫療法などの新しい治療法は、生存期間の延長や生活の質の向上をもたらすことがあります。

がん患者のケアは、身体的な治療だけでなく、心理的、社会的なサポートも含めた総合的なアプローチが求められています。

患者の生活の質の向上が重要視され、痛みや副作用の管理、精神的な支援が積極的に行う必要があるのです。