ヘルペスの症状とは？帯状疱疹との違いは？治療薬から予防策まで徹底解説

情報参考：藤沢整形外科イノルト整形外科

画像引用：国立感染症研究所

国立感染症研究所は「感染症発生動向調査」において、性器ヘルペスウイルス感染症の定点当たり報告数を発表。2006年のピークから急激に減りましたが、そこから増加して横ばいになっている状態です。

2021年は男性が20代後半から40代前半が多く、女性は20代後半が最も多くみられました。日本での患者数は、年間約9万人と言われています。

誰にでも起こりうる感染症だということがわかります。そこで本記事では、ヘルペスについて原因や症状などをご紹介。また、検査や治療方法に関してどのようなことを行うのかを解説しているので、ぜひ参考にしてください。

ヘルペスとはどんな病気？
症状・原因や帯状疱疹との違いを解説

ヘルペスウイルスは、唇、口内、目の角膜、性器、肛門などで発症し、水ぶくれなどの症状が見られます。一度感染すると、治まっても体内に潜伏し、再発することもあるため注意が必要です。

ここではそんなヘルペスウイルスについて詳しく解説します。

ヘルペスとは

アメリカの報道によって「ヘルペス」が世界中に広く知られ、「ヘルペス＝性器ヘルペス」とのイメージが強まりました。実際に、単純ヘルペスウイルス感染による単純疱疹と水痘・帯状疱疹ウイルスによる帯状疱疹は、一度感染すると一生涯潜伏し、再発する特徴があります。

性器ヘルペスもその一形態で、性的接触を通じて感染が広がります。ただし、症状が出ないこともあり、感染者が自覚症状を持たないまま感染を広げることがあるため、注意が必要です。

また、ヘルペス（Herpes）という言葉は、小水疱か急性炎症性皮膚疾患を指し、ギリシャ語の「這う」に由来します。元々は真菌症や皮膚癌など這うように広がる疾患を指していましたが、19世紀に水疱性の病変を作る疾患に絞られました。現在は主に単純疱疹や帯状疱疹を指す用語として使われます。

口唇ヘルペス（単純ヘルペスウイルス1型）とは

単純ヘルペスウイルス1型は、30歳までに約50%の人が感染経験があると言われています。このウイルスは主に唇の周りや角膜などの顔や上半身に発症。口唇ヘルペスが代表的な病気です。

単純ヘルペスウイルス1型は痛みは弱いのですが、再発しやすい特徴があります。特に単純ヘルペスウイルス1型では、年に約2回程度の頻度で再発が見られるので、注意しなくてはなりません。

再発時には、水ぶくれや発赤などの症状が再び現れます。

参照：日本皮膚科学会

性器ヘルペスウイルス感染症（単純ヘルペスウイルス2型）とは

性器ヘルペスウイルス感染症は、単純ヘルペスウイルス（HSV）によって性器やその周辺に水疱や潰瘍などの病変が形成される疾患です。

単純ヘルペスウイルス2型は、2～10%の人が感染すると言われ、性器やでん部などの下半身で発症しやすい特徴があります。

感染症法下では4類感染症定点把握疾患に分類されています。感染はHSVに感染している相手との性交によって起こり、相手が性器に病変がある場合だけでなく、無症状でも性器の粘膜や分泌液中にウイルスが存在する場合にも感染します。

参照：国立感染症研究所｜性器ヘルペスウイルス感染症とは

ヘルペスと帯状疱疹との違い

「ヘルペス」は総称で、「帯状疱疹」はその中の一つです。帯状疱疹と単純ヘルペスは異なるウイルスによって引き起こされ、発症のメカニズムや症状も異なります。

ヘルペスを発症した人の特徴

ヘルペスを発症した人には以下の共通点があります。

• 仕事で忙しく体力が低下
• 睡眠不足
• 試験や仕事でストレスを感じている
• 風邪を引いたとき
• 季節の変わり目

上記を見ると、誰でも経験しているため、発症には十分注意しなくてはなりません。

ヘルペスの感染経路をご紹介

ヘルペスの感染経路は、唇や性器などがあります。ここではそれぞれの感染経路をご紹介しているので、ぜひご覧ください。

口唇ヘルペスの感染経路

口唇ヘルペスの主な感染経路は、感染者の唇や舌、口の周りの発病部位を直接触れることです。これが最も一般的な感染経路で、感染リスクが高まります。

感染者が唾液を含んでいる際に、唇の発病部位が他の人との接触や食器や飲み物の共有などによって感染します。

また、口唇ヘルペスはキスを通じても感染するのが特徴です。

さらに口唇ヘルペスのウイルスは性器ヘルペスにも関連しており、性的接触を通じて感染が広がることがあります。この場合、主に単純ヘルペスウイルス1型（HSV-1）が関与します。

感染者は特に発病期間中に他者との密接な接触を避けることが重要です。また、手洗いや感染予防策の実施が感染拡大を抑制するのに役立ちます。

性器ヘルペスの感染経路

単純ヘルペスウイルス2型（HSV-2）は、主に性行為を通じて感染が広がります。感染者の性器の表面や皮膚、ただれ、および性器や肛門部の粘膜などに存在するウイルスが健康な相手に伝播することです。

感染者の性器分泌物などの体液を含むHSV-2が、パートナーの粘膜や傷口に接触することで感染が広がります。性交だけでなく、性器の手術や検査、妊娠、分娩の際にも感染が起こる可能性があります。

感染者は自覚症状がない場合でもウイルスを排出し、他者に感染を広げることがあるので、一緒に暮らしている家族やパートナーは十分に注意を払わなくてはなりません。

参照：厚生労働省｜単純ヘルペス、性器ヘルペス

ヘルペスの検査・治療法をご紹介

ヘルペスの疑いがある場合は、早めに検査や治療を受けて、周りへ感染させないことが重要です。性病専門クリニックや病院ではどのような検査や治療を行うのかを解説します。

ヘルペスの検査

現在はオーラルセックスによって、口唇ヘルペスでも2型、性器ヘルペスでも1型による発症する恐れがあります。そのため、ヘルペス発症箇所によるウイルスを断定することは難しいです。

主な検査は抗原検査で行われます。ヘルペスウイルスの抗原検査は、水疱の症状が出ているときに行います。水疱が現れた段階で検査を行うことで、ウイルスを直接検出し診断することが可能です。

この方法なら直接患部から浸出液を採取して行うため、その場でヘルペスウイルスによる感染かどうかを診断できます。

ヘルペス検査が陽性だった際の治し方

医療機関でヘルペス検査を受けた後、陽性だった場合は治療に移ります。治療方法は症状によって異なりますが、飲み薬を使用することがほとんどです。

飲み薬と塗り薬

ヘルペスウイルスの治療には、飲み薬と塗り薬が一般的です。ヘルペスウイルスは神経節に潜伏増殖するため、抗ウィルス剤を用います。

抗ウイルス剤として、アシクロビル、バラシクロビル、ファムシクロビルはウイルスの増加抑制の効果を持つため、クリニックや病院で処方されることが多です。

塗り薬は皮膚に出現している湿疹の消失までの時間短縮、高熱の早期解消などの効果が期待できます。

また、薬剤の種類として、アメナメビルは帯状疱疹にのみ効果が期待できるので、念頭に入れておきましょう。

点滴・注射

ヘルペスの症状が重い場合、点滴や注射が実施されることがあります。

アシクロビルなどの抗ウイルス剤を点滴または注射で投与し、症状の緩和や治療を行います。抗ウイルス剤の点滴は、72時間ごとに1日3回ずつ行われます。症状の状態や種類によっては増減があるでしょう。

そのため、点滴で治療するとなると通院や入院をすることがあるため、アクセスの良いクリニックを選ぶのがポイントです。

ヘルペスを予防する方法

ヘルペスは日常生活や性生活に気をつけていれば防げます。ここではどのようなことに注意しなくてはならないのかを解説します。

日焼けに気をつける

日光が口腔のHSV感染症の再発を引き起こす場合、できるだけ日光に当たらないようにすることが大切です。外出時は日焼け止めを使用して、感染を防ぎましょう。

また、症状が治って体に抗体ができても、疲労やストレスなどで免疫力が低下すると再発を繰り返します。忙しくても15分の昼寝をして体力を回復したり、ストレスを溜めたりしないことが重要です。

再発しやすい方はUVケア用のリップクリームをこまめに利用してみてください。

コンドームを正しく使う

性器ヘルペス感染者は、常にコンドームを使用するべきです。目に見える水疱や症状がなくても、ウイルスは性器の表面に存在し、セックスパートナーに感染するリスクがあります。

また、初期のピリピリ感や水疱が現れた場合、患部から感染を広げないようにキスを避けることが大切です。その他にも唇を触らないように気をつけましょう。

ヘルペスについてのよくある質問で
疑問を解消！

「ヘルペスかもしれない」と思ったら不安でいっぱいになってしまうでしょう。ここではそんな心配ごとを解決するために、皆さんが悩んでいる疑問をまとめました。

女性が口唇ヘルペスになる原因は？

口唇ヘルペスは女性に多いと言われている病気です。それには性的行動の特徴が挙げられます。

女性は男性に比べてキスをする頻度が高いことが一因です。口唇ヘルペスは直接の接触によって感染が広がるため、キスが感染のリスクを高めます。

さらに妊娠期間中やホルモン変動の影響を受けやすいため、女性の免疫機能が低下し、ウイルスに感染しやすくなるのも一つの要因です。

また、化粧品や口紅を使用することで、感染した手や他の物体と接触する可能性があります。感染源からの触れ合いが口唇ヘルペスの拡大につながります。

ヘルペスの市販薬はある？

口唇ヘルペスの治療に使用される飲み薬は市販されておらず、病院やクリニックでの診察を受け、医師による診断の上で処方箋を得る必要があります。

処方箋を持って、薬剤師のいる薬局やドラッグストアに行くことで、飲み薬を受け取ることが可能です。

一方、塗り薬には市販薬と処方薬があります。第1類医薬品として軟膏やクリームを購入できます。

ヘルペスの前兆が感じられた場合は、市販薬の塗り薬でも治る可能性が高いです。ただし、症状が進行した場合は、医療機関でしっかり医師の診察を受けるようにしましょう。

ヘルペスになると人生終わり？

HSVは感染後、神経節に潜伏し一生涯体内に留まります。そのため、睡眠不足、疲労、ストレスなどが免疫力を低下させると、ウイルスが再活性化するので注意してください。感染者は再発予防に努める必要があります。

一度ヘルペスになると、うまくウイルスと付き合っていかなくてはなりません。そのため、充分な休息、ストレス管理、健康的な生活習慣が重要です。

ヘルペスは目や鼻にもうつる？

ヘルペスが発症している部分に直接触れることで、他人に感染する可能性があります。特に病変がある場合は注意が必要です。

通常片眼に発症した場合、もう一方の目に感染が広がることはまれです。ヘルペス性結膜炎は感染力が高いウイルス性結膜炎とは異なり、通常は仕事や学校を休むほどの症状が生じません。

ただし、個々の症状や感染リスクは個人差があります。また、鼻の中にもヘルペスはできます。

感染が広がる可能性を最小限に抑えるためには、以下の対策が重要です。

• 手洗い
• 病変部を他人に触らせない
• 感染部位を清潔に保つ
• タオルの使い回しはしない

口内炎とヘルペスは違うの？

口内炎とヘルペスは、発生原因と性質がそれぞれ異なります。口内炎は外傷、免疫力低下、ストレスによる非感染性の病変で、口腔内に限定されます。

一方、ヘルペスは感染症で、ヘルペスウイルス感染により口腔内や他の部位に症状を引き起こします。感染していない場合、ヘルペスの症状は現れません。

ヘルペスは子供にもうつる？

子供にも感染させる可能性があります。

赤ちゃんにキスする際は、自信が口唇ヘルペスの症状があるか確認し、症状がある場合は控えなくてはなりません。タオルや食器などの個人用品を共有せず、赤ちゃん専用にしましょう。

親がヘルペスに感染している場合、手洗いをよく行い、感染リスクを最小限に抑えてください。

ヘルペスになると性行為できない？

ヘルペスの症状が出ている間は、感染リスクを避けるために性行為を控えることが大切です。症状がある場合、発症部位やその周囲の皮膚からウイルスが排泄される可能性が高まります。

さらに、「無症候性排泄」と呼ばれる状態の場合は、症状がなくてもウイルスが体液中に排泄されていることがあります。この状態でも感染が広がる可能性があるため、感染予防のためには性行為を控えましょう。

ただし、ヘルペスに感染したその後、症状が出ていない期間は感染リスクが低くなりますが、無症候性排泄があるためゼロではありません。

感染の有無や予防策についてパートナーと話し合うことが重要です。医師と相談し、適切な予防策や治療法を検討してみてください。

ヘルペスウイルスまとめ

ヘルペスウイルスは一度発症すると、一生涯体内に残ります。免疫力が低下すると再発することもあるため、注意しなくてはなりません。

ヘルペスの6〜7割は再発と言われています。性器や口の周りに赤茶色の水ぶくれができた場合、ヘルペスを疑っても良いでしょう。パートナーに感染させないためにも、早めの治療が大切です。

感染する可能性がある家族やパートナーにはきちんと伝えて、協力してもらいましょう。