カンジダ症とは？治療薬の種類や予防する方法・症状について解説します

カンジダ症は男性よりも女性に多い感染症です。カンジダ症といってかかる部位は口や性器、爪などさまざま。もともと私たちの体内にある常在菌なので、いつ発症してもおかしくありません。

そこで本記事では、カンジダ症についてどのような症状や治療などがあるのかご紹介します。また、膣カンジダ症についても解説しているので、ぜひ参考にしてください。

カンジダ症とはどんな病気？どうしてなるの？

カンジダ症による感染症の最も頻繁に見られる原因菌種はCandida albicans（カンジダ・アルビカンス）で、カンジダ属の真菌によって引き起こされる感染症です。

ここでは、カンジダ症について詳しくご紹介します。

カンジダ症は女性に多い病気

カンジダ症は、一般的にはカンジダ属の真菌による感染症です。女性に比べて男性の発症率は低いとされていますが、男性でも発症することがあります。

女性の患者が多い理由は、女性の膣内が温暖かつ湿潤な環境であり、真菌が繁殖しやすいためです。カンジダ属の真菌（主にCandida albicans）が原因となります。

これは日常的に体内に存在する菌で、バランスが崩れることで感染症が発生します。

参照：国立感染症研究所｜国内でよくみられる侵襲性真菌症～カンジダ症～

カンジダ症になる主な原因・感染経路

カンジダ菌は口腔、皮膚、性器、消化管などに存在いる「常在菌」です。そのため、自己感染します。

特に「疲労感がある」「ストレスを感じている」「風邪を引いた」など身体の免疫力が低下しているときはカンジダ菌が増殖しやすいので注意が必要です。

もちろん性器カンジダ症は、性行為を通じてうつることがあります。

また、カンジダ症はお風呂でうつることはありません。ただし、タオルを介して感染する可能性があるので、家族やパートナー間でタオルの使い回しは避けましょう。

口腔カンジダ症とは

カンジダは自己感染やオーラルセックスよって口腔内にも発生することがあります。カンジダ感染により、舌や口腔内に白い苔状のものが付着することがあります。

口腔粘膜が赤くなり、刺激やヒリヒリ感・痛みを生じ口内炎のような症状です。

また、カンジダ感染により口腔内に異常が起こり、味覚障害が発生することがあります。食事や飲み物の味が変わったり、嫌な味がしたりすることがあります。

なお、健康な人のキスによる感染は一般的には低いとされていますが、口腔内にカンジダ菌が存在する場合、相手やあなたの免疫機能が低下しているときには感染する可能性があるので注意しましょう。

口腔内の症状が見られる場合は、歯科医師や医師に相談し、適切な検査と治療を受けることが重要です。

参照：MSDマニュアル｜カンジダ症（真菌感染症）

膣カンジダとは？5人に1人が発症している

カンジダは体内の常在菌が原因となるため、誰もが膣カンジダを発症する可能性があります。女性性器の感染症の中で頻繁に見られる疾患です。

膣カンジダ症は女性の5人に1人が経験していると言われています。ここでは膣カンジダについてチェックしていきましょう。

膣カンジダとはおりもの・かゆみを引き起こす

腟カンジダはカンジダ菌による腟炎で、女性の腟内で起こります。抗生物質の使用、ホルモンバランスの変化（生理前）、免疫機能の低下、過度な洗浄などの要因で異常増殖することで、腟カンジダ症を発症します。

腟カンジダが治癒しても、ホルモンバランスの変化や免疫力の低下などの要因により、再発することがあります。再発を予防するためには、適切な治療とその後のケアが重要です。

症状が似ている疾患

膣カンジダ症の症状に似ている性感染症は以下のとおりです。

参照：フェミニーナ

カンジダ症なのか自分では判断できないこともあるので、早めの受診をおすすめします。

カンジダ症の症状を男女別に解説

カンジダ症は女性に多い病気ですが、男性もかかることがあります。ここでは、男女別でカンジダ症の症状を解説しているので、ぜひ参考にしてください。

カンジダ症：男性の場合

男性の場合は尿道や亀頭、包皮に症状が現れます。男性のカンジダ感染症による症状は次のとおりです。

また、包茎だった場合は、雑菌が溜まりやすく湿り気もあるため、カンジダ感染のリスクが高くなる可能性があります。湿った環境が真菌の繁殖を促進するため、適切な衛生習慣や亀頭・包皮の清潔な状態の維持が重要です。

男性のカンジダ感染症は女性よりも比較的まれですが、性行為による感染や免疫機能の低下などの要因がある場合に発生することがあります。

カンジダ症：女性の場合

女性のカンジダ症の症状は、男性とは異なります。

• 性器周辺のかゆみや発疹
• おりものの増加
• 排尿時や性交時の痛み
• 赤みや腫れ
• 不快感

カンジダ症の予防対策を知っておこう

まずは陰部を清潔に保ち、乾燥させることが重要です。特に入浴後やトイレの後に陰部を拭く際に注意が必要です。

通気性のある綿素材の下着を選び、夏など季節によっては蒸れやすくなる状態には十分に気を付けましょう。生理用ナプキンもこまめに変えるのがポイントです。

性行為を行う際には、コンドームの使用が感染のリスクを軽減する助けとなります。ただし、100%ではないので、過信しないように注意してください。

また、陰部を過度に洗浄すると、腟内の環境を保っている常在菌も一緒に洗い流されてしまうことがあります。必要以上の洗浄は控え、適度な清潔さを保つように心掛けてください。

症状が現れた場合は、かかりつけの医師に相談し、適切な検査と治療を受けることが大切です。自己判断で薬を使用せず、医師の指導に従いましょう。

カンジダ症の検査・治療方法をご紹介

カンジダ症かな？と思ったら、悪化させないためにもすぐに検査することが大切です。ここでは医療機関における検査の方法や治療内容を解説します。

カンジダ症の検査方法

カンジダ症を検査できる時期は、感染機会から24時間以上経過することで検査が可能です。

• 男性の検査：尿検査、皮膚擦過検査
• 女性の検査：膣分泌物（綿棒での拭い）検査、皮膚擦過検査

検査結果は数日から約1週間で出ます。

カンジダ症の主な治し方

腟カンジダ感染症の治療には、一般的に抗真菌薬が使用されます。主な治療法は以下のとおりです。

• 腟錠（腟内錠）
• 軟膏
• 経口薬

進行が著しい場合や外用薬が効果的でない場合、経口抗真菌薬を処方されることがあります。経口抗真菌薬としてはフルコナゾールが一般的です。

治療期間は通常、数日から1週間程度とされますが、個人差があります。再発防止のために、予防策や生活習慣の改善も考慮しましょう。

カンジダ症に関するよくある質問で不安を解決

カンジダ症について、もっと詳しく知りたい方のために、よくある質問で皆さんの悩みや疑問をまとめました。ぜひ最後までご覧ください。

カンジダ症は薬で治りますか？

カンジダ症は、発疹、鱗屑（りんせつ）、かゆみ、腫れなどの症状が特徴です。皮膚や細胞のサンプルを取り、顕微鏡で調べたり培養したりしてカンジダ菌の有無や種類を確認します。

カンジダ症の治療には、抗真菌薬を用いるのが基本です。治療法には外用薬と経口薬があり、症状の重症度や患者の状態によって医師が診断します。

外用薬・・・クリームや腟錠といった局所的に使用する薬剤。通常は数日から1週間で効果が現れる
経口薬・・・症状が進行しているケースや外用薬が効果的でない場合に用いられる

治療期間は通常、数日から1週間程度とされます。しかし、医師の指示に従い、完全に症状が改善するまで治療を継続することが重要です。完治するまで性行為は避けてください。

カンジダ症は再発する？

カンジダ症の再発に関する調査結果によれば、一度カンジダ症に罹患した人の約4割が、1年以内に再発するという報告がされています。

これはカンジダ菌が体内の潜在的な菌として存在し、免疫力の低下やホルモンバランスの乱れなどの要因で再び活動しやすくなるためと考えられています。

健康な生活習慣、バランスの取れた食事、適切な睡眠などによって免疫力を向上させることが大切です。

カンジダ症は治らない？自然治癒しますか？

カンジダの症状が強く現れているときや再発が続いている際には、自然治癒が期待できないことがあります。特に症状が重篤である、自己処理が難しい、または再発が頻繁に起きる場合は、医療機関で適切な治療を受けることが重要です。

カンジダは治療を受ければ治る病気なので、早めに医療機関で検査しましょう。

カンジダ症の市販薬はありますか？

ドラッグストアや薬局での市販の抗真菌薬や軟膏は、一般的に「再発治療薬」として販売されている薬剤です。これらの薬は、以前に医師の診察を受けてカンジダ感染症と診断された人で、治療を経て再発が疑われる場合に購入できます。

しかし、初めて症状が現れた際は、カンジダ市販薬を購入する際に断られることがほとんどです。

理由として、カンジダ感染症以外の症状や他の感染症が原因になるかもしれないからです。

参照：日本OTC医薬品協会

カンジダ薬を入れた後の白いカスはいつまで続く？

カンジダの薬（腟剤やクリーム）を使用した後に白いかすのようなものが腟から排出されることがあります。これは副作用か薬物の成分が効果を発揮している証拠です。

また、治療によって感染を抑え、死滅したカンジダ菌や治療中に剥離した腟の組織が排出されている可能性があります。

時間の経過とともに症状は改善し、排出物も2〜3日で減少していくので安心してください。

カンジダ錠剤の溶ける時間は？

腟剤は、膣内に挿入して使用する薬剤です。腟剤を膣内に挿入すると、薬物が溶け出して病原体に対して作用し、感染を抑制する役割を果たします。

腟剤は挿入した直後から薬物が徐々に溶け出し、数日間かけて効果を発揮します。このため、通常は数日間の治療が必要なことがあります。

カンジダが治ったサインは？

性器のかゆみが治り、おりものの量が通常に戻ると治ったサインと考えても良いでしょう。カンジダは通常、体内に存在している常在菌なので、完全に取り除くことはできません。

ただし、治療が完了した後も、再発を防ぐために引き続き適切なケアや予防策をとることが重要です。

カンジダ症に感染したことをパートナーに伝えるには？

カンジダ症になったとしても、パートナーが感染していなければあえて伝えなくても良いでしょう。ただし、膣カンジダ症と判断された場合は、パートナーに感染させてしまうことが考えられるため、伝えるようにしてください。

性交渉を控えるなどパートナーにも協力してもらいましょう。

カンジダ症はひとりで悩まないこと！まとめ

カンジダ症は、カンジダ属と呼ばれる真菌による感染症です。

この真菌は通常、人の皮膚、口腔、消化管、腟などの粘膜表面に存在していますが、免疫力の低下や他の要因により過剰に繁殖すると感染症を引き起こします。

そのまま放置すると男性は激しいかゆみによる二次被害、女性は赤ちゃんへの感染の恐れがあるため、異変に気がついたらすぐに検査や治療を受けましょう。