股関節の痛みに効くストレッチ|片方だけ痛い場合はどうする?

加齢によって身体機能が衰えたり、仕事柄長時間座った姿勢をキープすることが多いと、股関節の柔軟性が失われ痛みを感じることがあります。

このような場合、適度な運動やストレッチをすることで、痛みの緩和や予防に役立つ可能性があります。

しかし、ストレッチは方法を間違うとさらに症状を悪化させるリスクもあることから、正しい方法を理解しておくことが大切です。

本記事では、股関節の痛みに有効なストレッチを詳しく解説します。

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股関節の痛みの主な原因

股関節の痛みはさまざまな原因によって発症します。

激しい運動や股関節に高い負荷がかかったときなどは、一時的に痛みが発症しますが、数日程度で収まることもあるでしょう。

痛みの程度や症状の期間によっても原因は異なりますが、特に多いのが以下の2つです。

変形性股関節症

変形性股関節症とは、股関節の軟骨がすり減った結果、関節の骨同士が接触し炎症や痛みを生じさせる疾患です

股関節に限らず、肘や膝、首などさまざまな部位の関節には軟骨があり、スムーズな曲げ伸ばしをサポートしています。

しかし、軟骨がすり減ると関節の骨同士をつなぐクッションの役割を果たすものがなくなり、骨同士の摩擦によって痛みを感じるようになるのです。

軟骨がすり減る原因は、主に肥満やケガ、過度な運動、加齢などが考えられます。

初期の変形性股関節症であれば違和感や軽い痛みなどを覚える程度ですが、治療をしないまま症状が進行していくと股関節そのものが変形することもあります。

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筋肉や靭帯の損傷

股関節周辺には恥骨筋や腸骨筋、縫工筋などさまざまな筋肉、靭帯が折り重なるように構成されています。

激しい運動や過度な負荷が急激に股関節にかかってしまうと、筋肉や靭帯が損傷し痛みを感じることがあります。

特にスポーツを楽しむ前には、十分なトレーニングをして筋肉を柔らかくしておかないと肉離れを起こし、回復まで長い時間を要する可能性もあるでしょう

股関節の痛みに効くストレッチ

デスクワークで長時間座った姿勢を維持することが多いと、股関節の柔軟性が失われ、立ち上がったときや運動をしたときに筋肉や靭帯を損傷しやすくなります

そこで、股関節に痛みを感じたとき、あるいは股関節の痛みを予防するためには、日頃からストレッチを習慣づけておくことがおすすめです。

職場や自宅で手軽にできるストレッチの方法を、股関節の前側・内側に分けてご紹介します。

股関節の前側に効くストレッチ

  1. 左右いずれかのお尻を椅子に置く姿勢をとり、横向きになるように椅子に座ります。
  2. 椅子に掛けていない片方の足を軽く後ろに伸ばし、つま先を立てます。
  3. その状態から、股関節の前側から太ももにかけての筋肉を伸ばすイメージで、椅子に腰掛けていないほうの足を後方に伸ばします。
  4. 1〜3は1セットあたり40秒を目安に、2〜3回繰り返し、さらに左右の足を替えて行います。

 

椅子に半分腰掛けた上体で行うため、椅子の形状や大きさによってはバランスを崩しやすく、ケガをするおそれもあります。

たとえば、キャスター付きの椅子を使用する際にはキャスター部分を固定したり、背もたれを手で固定した状態で行うなどの工夫をしてみましょう

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股関節の内側に効くストレッチ

  1. 椅子に座った状態で、左右いずれかの足を片方の膝の上に乗せます。
  2. 乗せたほうの足の膝を下方向から外側にかけて押し下げます。
  3. その状態で股関節の内側からお尻の筋肉を伸ばしながら、上半身を前にゆっくりと倒します。
  4. 1〜3は1セットあたり40秒を目安に、2〜3回繰り返し、さらに左右の足を替えて行います。

 

上記のストレッチは上体を前に倒すため、重心が移動しバランスを崩す可能性もあります。

椅子に浅く腰掛けるのではなく、座面にしっかりとお尻を置き安定した状態でストレッチを行ってください

寝ながらできる股関節のストレッチはある?

職種によっては仕事の合間に気軽にストレッチができる環境ではなかったり、忙しく時間がとれないという方も多いでしょう。

そのような方のために、ベッドに入った後で寝ながらできる股関節のストレッチをご紹介します。

股関節の後側(お尻)に効くストレッチ

  1. 仰向けの状態になり、左右いずれかの膝を両手で抱えた状態で胴体側に引き寄せます。
  2. 約15秒間、1の姿勢をキープし、これを2セット繰り返した後、左右の足を替えます。

 

膝を抱えてキープするときには、反対側の足は伸ばした状態で膝が浮かないようにすることと、痛みを感じない範囲内で無理なく行うようにしてください

右だけあるいは左だけ痛いときはどうする?

  1. 座った状態で片足を前に、もう一方の足は軽く折り曲げた状態で後ろに置きます。
  2. ゆっくりと上体を前に傾け、気持ち良いと感じる程度まで股関節・太ももを伸ばします。

 

股関節をさらに痛めるリスクがあるため、痛い部位のストレッチはくれぐれも無理をしないようにしてください

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股関節の痛みはストレッチのしすぎかも?対処法とは

毎日のようにストレッチをしているにもかかわらず、痛みが悪化している気がするという場合には、ストレッチのし過ぎにより痛みが悪化している可能性も考えられます。

また、ストレッチのやり方が間違っている場合も股関節に過度な負荷がかかりすぎて、痛みを発症することがあります

特に、以下のようなストレッチを行っている場合は要注意です。

 

  • 反動をつけてストレッチをしている
  • 痛みを我慢してストレッチをしている
  • 可動域を超えて動かそうとしている

 

ストレッチの基本は、「気持ち良い・心地良い」と感じられる範囲で行うことです

多少の痛みや刺激があったとしても、気持ち良いと感じられる範囲内であれば適切なストレッチといえます。

しかし、それ以上に強烈な痛みを感じたり、限界を超えた範囲を動かそうとすると筋肉や関節に過大な負荷がかかり、ストレッチを終えた後も痛みが残り続けることもあるのです。

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まとめ

股関節は加齢によって可動域が狭くなる傾向があるほか、デスクワークで長時間同じ姿勢で座っている方も関節の柔軟性が失われ、痛みを感じやすくなります。

これを解消するためには、こまめにストレッチを行い関節の柔軟性をキープすることが重要です。

ただし、間違った方法でストレッチを行うと筋肉に大きな負荷がかかり痛みを悪化させることもあります。

今回の記事でも紹介しましたが、ストレッチの基本は「気持ち良い・心地良い」と感じる範囲内でキープすることです。

くれぐれも痛みを我慢したり、可動域を超えて無理に動かしたりしないよう注意してください。

また、ストレッチの際以外にも股関節の痛みを感じる場合は、信頼のおける整形外科に受診しましょう。

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この記事の監修医師


藤沢駅前 順リハビリ整形外科  院長 渡邉 順哉

■詳しいプロフィールはこちらを参照してください。

経歴

●東邦大学 医学部 卒業
●横浜市立大学附属市民総合医療センター 整形外科
●イノルト整形外科 院長

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