外反母趾とは?原因と症状、痛みの改善方法や治し方について

「親指の付け根が痛い」
「最近足の形が変わってきた」

外反母趾とは、母趾が他の足指と離れ、外側へ向きを変えてしまう足の変形のことです。母趾の付け根が外側に突出する形になり、母趾が他の足指と接触したり、靴とこすれたりするため、痛みや違和感の原因となります。

高齢者に多く見られ、放置すると歩行障害につながる可能性があるため、早期の治療が必要な症状です。本記事ではそんな方のために、外反母趾とはどんな病気なのか、痛みや原因についても解説していきます。

外反母趾とはどういう病気ですか?

外反母趾とは、母趾(親指にあたる足の第一趾)が外側に反っている状態のことをいいます。

主な特徴は以下の通りです。

  • 母趾の付け根が内側に曲がり、母趾が外側に反っている
  • 母趾の内側が浮き上がり、母趾球が地面につかない
  • 歩行時に母趾が靴にこすれる、痛みを感じる
  • 重症化すると変形性関節症などを併発しやすい

原因は、先天性の骨の形状異常や靱帯の弛緩、過度の高ヒールなどによる姿勢の乱れなどが考えられています。治療には靴の形状改良、減圧・固定、運動療法、外科手術などが行われます。

早期に治療しておくことで、症状の進行を防ぎ、合併症を予防することが重要です。自覚症状がある場合は、整形外科を受診することをおすすめします。

外反母趾の原因はなんですか?

外反母趾の原因には先天性と後天性があります。

先天性の原因としては、骨格の形成異常や靱帯の弛緩など骨格系の発育異常が関与しています。母趾の付着する骨の形状や接合する靱帯の張力が弱いため、母趾が外反しやすい状態が生まれるのです。

また、関節リウマチなどの内因性の疾患や、外傷・炎症後の変形も後天的な外反母趾の原因となります。

外反母趾の発症には先天性と後天性、骨格系自体の異常と外的要因が複合的に関与していることが特徴です。

外反母趾の原因:生活習慣

  • 高ヒールの長時間着用
  • 狭い靴の常用
  • 足指を圧迫するような靴の着用

ヒールの長時間着用は、外反母趾の大きな原因のひとつです。高ヒールを履くことで足の正常な足のバランスが崩れ、特に母趾にかかる力が外側に働きやすくなります。

ヒールの高さが高ければ高いほど、この母趾への外反力は大きくなります。長時間この状態が続くと、徐々に母趾の付け根が変形し外反の程度が進行していきます。

また、狭い靴の常用も外反母趾に影響します。足指が圧迫されることで母趾を含む足指の自然な動きが妨げられ、母趾の正常な機能が低下していきます。特に足指の動きを覆うような形状の靴はリスクが大きいとされています。

これらの生活習慣が、母趾にかかる力のバランスを崩し、母趾の運動機能低下や徐々な変形を引き起こすことで、外反母趾の症状を悪化させる主な原因となっています。

なりやすい人の特徴

  • 足のアーチが低い人(扁平足等)
  • 先天的に母趾の付着部の骨格が弱い人
  • 運動不足で足の筋力が弱い人

対処法

  • ヒールの低い広めの靴を選ぶ
  • インソールや fibrin テープを使って母趾を支持する
  • 裸足になる機会を作り足指を動かす運動を取り入れる
  • 足の筋力強化運動やストレッチを行う

外反母趾の原因:先天性

先天性の外反母趾は、骨格の発育段階での形成異常が主な原因です。

代表的なものとしては、母趾の付着部の骨の形状が正常と異なることで外反しやすい状態となるものがあります。また、靱帯の発育不全により母趾を支える力が弱くなり外反しやすくなる場合もあります。

このような骨格系の異常は出生時から存在するため、乳幼児期から外反の徴候が現れるのが特徴です。成長とともに徐々に進行することが多いため、思春期までに外反の兆候に気づくことが大切です。

対処としては、適切な靴の選択や装具による固定を行うことで、進行を予防することが重要となります。

なりやすい人の特徴

  • 母趾の付着部の骨格形成異常を有する人
  • 靱帯の発育不全がある人

対処法

  • 乳幼児期からの適切な靴の選択
  • 装具による固定
  • 定期的な骨格のチェック

以上のように、先天性の骨格系の異常が外反母趾の主な原因となります。早期発見と対処が大切です。

外反母趾の原因:後天性

後天性の外反母趾は、加齢や日常生活における外的要因が影響して発症するものです。

代表的な原因としては、高ヒールなど不適切な履物の長期使用による母趾の変形、運動不足に伴う筋力低下、体重増加に伴う足部への負担増大などがあげられます。

このような外的要因により、徐々に母趾の運動機能が低下し、付け根部分が変形して外反が進行しやすくなります。

対処としては、生活習慣の改善が重要です。適切な靴の選択、運動習慣の確立、体重管理などにより進行を予防できる可能性があります。

なりやすい人の特徴

  • 高齢者
  • 運動不足で筋力の低下した人
  • 肥満傾向にある人

対処法

  • 適切な靴の選択
  • 有酸素運動や筋力トレーニング
  • 体重管理

外反母趾の原因:外因性

外反母趾の外因性の原因としては、主に不適切な靴の装着があげられます。

例えば、ハイヒールの長時間着用は、母趾に過度の外反を強いるため大きな原因のひとつです。
また、先天的な骨格の弱点がある人でも、狭くて指先を圧迫するような靴を長期間履くことで、外反が引き起こされます。

このように、靴による物理的な圧迫や力のかけ方の変化が、母趾の形状を変えてしまうことが外反の外的原因として知られています。

対策としては、広めで指先に適度な空間のある靴を選ぶことが重要です。 足指スペーサーや分離式の靴内底などを使うのも効果的です。

なりやすい人の特徴

  • ファッションにこだわりハイヒールを好む人
  • 靴のサイズに過度にこだわらない人

対処法

  • 広めの靴を選ぶ
  • 足指スペーサー等の器具を使用
  • 靴ずれに注意する

外反母趾の原因:内因性

外反母趾の内因性の原因としては、関節リウマチなどの自己免疫疾患や糖尿病などの代謝性疾患が知られています。

関節リウマチでは、慢性の炎症により関節の変形を来たし、母趾の付け根が歪み外反することがあります。

糖尿病では、高血糖による神経障害の影響で足の運動機能が低下し、母趾の支持力が弱まることが外反の原因となります。

このように、本人の健康状態に起因する内的要因も外反母趾のリスクを高めます。関連疾患の管理とともに、日常の適切なケアが予防には重要です。

なりやすい人の特徴

  • 関節リウマチの病歴がある人
  • 糖尿病など代謝疾患を有する人

対処法

  • 本疾患の適切な治療と管理
  • 日常の足部ケア(マッサージ、運動等)
  • 医師の指導に従うこと

外反母趾の症状はどういうものがありますか?

外反母趾の主な症状は以下の通りです。

  • 母趾付け根の痛み
    外反により母趾付け根が歪み、局所的な痛みを生じることがあります。歩行時や靴を履く時に痛みが増す場合が多いです。
  • 母趾球の痛みやただれ
    母趾が外反することで、母趾球が地面につかなくなり、球部に過剰な負担がかかります。球の痛みやただれ、糜爛を生じます。
  • 第二趾の変形
    母趾の外反により、隣の第二趾が母趾の下に入り込む趾間炎を併発しやすくなります。
  • アーチの崩壊、扁平足
    母趾の支持機能が低下することで、全体のアーチがつぶれ扁平足になりやすいです。
  • 歩行時の痛みやふらつき
    母趾の変形では安定した歩行が困難になり、歩行時痛やつまずきが生じやすくなります。

このように、母趾だけでなく足全体の機能障害を来たします。

外反母趾はどのように進行するのでしょうか?

  • 初期段階
    母趾の付け根が少し外反し始めるが、自覚症状はないか軽度。この時期に対処することで進行を防げる。
  • 症状出現期
    母趾の外反角度が15-20度くらいになり、歩行時や靴の着用時に痛みが出始める。母趾球に過負荷がかかりはじめる時期。
  • 中等度外反期
    外反角度が20-40度となり、歩行困難感や日常生活動作での痛みが目立つようになる。第二趾の変形も進行。
  • 高度外反期
    40度を超える高度な外反角度となり、母趾の機能は著しく低下。歩行は極端に不安定となり、趾間炎や湿疹も生じる。
  • 変形固定期
    最終的には外反角度が固定し、母趾の運動は完全に制限。疼痛はある程度和らぐが、日常生活に支障を来たす。

外反母趾の進行の兆候

  • 母趾の付け根の見た目の変化
    母趾の付け根が内側に曲がり始め、母趾全体が外反してくる兆候がみられる。
  • 靴のすり減り
    母趾が靴の側面をこすり、すり減ったり靴ずれが起こり始める。
  • 歩行時の違和感
    歩く時に母趾が不調和に動くようになり、歩行感覚がおかしくなる。
  • 母趾球の痛み
    母趾球に過剰な負荷がかかり、球部の痛みが生じ始める。
  • 第二趾の変形
    第二趾が母趾の下に潜り込むようになる。

このような兆候が見られた場合、直ちに受診することをおすすめします。放置すると症状は確実に進行していきます。早期発見と治療が大切です。

外反母趾の検査と診断方法

外反母趾の検査と診断の流れは、まず患者から詳細な症状聴取と医療アンケートを取るところから始まります。母趾や足の違和感の部位、痛みの特徴、発生した経緯などをできるだけ具体的に聞き取ることが大切です。

次に、医師が目視および触診によって母趾と足の形状や可動域、圧痛の有無などを直接確認します。母趾の外反角度や変形の程度を判断する上で、実際に診察することが不可欠です。

さらにレントゲン検査を行い、母趾と足の骨格の形状を画像上で評価します。外反母趾に特徴的な骨の変形がないかどうかを確認するためです。

必要に応じて歩行時の動きの検査や、関節リウマチなど関連疾患の血液検査も行われます。

これらの検査結果を総合的に判断することで、外反母趾と診断し、適切な治療方針を立てることができるのです。

外反母趾の対策、予防方法はありますか?

外反母趾の対策、予防方法には以下があります。

  • 適切な靴の選択(靴を変える)
    ヒールの低い広めのサイズの靴を選ぶ。運動靴など足指に過度な圧迫がないものがおすすめです。
  • インソール、オーソリックスの使用
    インソールやアーチサポートを入れて足を支持する。オーソリックスで夜間コルセットする。
  • 裸足にする機会を設ける
    裸足で歩行する機会を設け、自然な足の動きを心がける。
  • ストレッチや筋力の強化をする
    筋力トレーニングやストレッチ、有酸素運動を取り入れる。
  • 体重管理
    過度の体重増加は避ける。健康な体重を維持する。
  • 正しい歩き方、立ち方を意識
    膝を伸ばし、つま先で歩くようにする。重心はかかとではなくつま先に。

早期に対策を始めることで、外反母趾の進行を予防できる可能性があります。

外反母趾の治療法

  • 保存療法
    初期の外反母趾では、痛み止めの薬を飲んだり、アイスパックなどで冷やすことで、痛みや腫れを和らげます。
  • 装具療法
    シリコンや樹脂などの素材で作った装具を母趾や足に装着し、正しい位置に固定します。夜寝る時も装具をすることが大切です。
  • 運動療法
    医師や理学療法士に教わった、母趾や足の関節の運動を行います。歩き方の訓練も大切です。痛みがある場合は無理せずに行いましょう。
  • 手術療法
    母趾が高度に変形している場合は、手術をする必要があることがあります。母趾の骨や周囲の軟骨組織を整形する手術が主なものです。

最初は簡単な治療から始め、徐々に強化していくのが一般的です。手術は必要最小限にすることが大切です。

手術療法について

外反母趾 手術

麻酔は全身麻酔で行いますか?

麻酔は全身麻酔と局所麻酔の両方の方法があります。全身麻酔は効果が高い反面、リスクもあるため、局所麻酔で対応できる症例では局所麻酔が選択されることが多いです。手術部位によっては局所麻酔でも十分な効果が得られます。

手術の所要時間は?

手術時間は症例によって異なりますが、外反角度に応じて母趾の軟部組織や骨を調整するため、1-2時間程度の手術時間が必要となることが概ね一般的です。複雑な症例では更に時間を要する場合もあります。

入院期間は?

入院期間は術後の経過を見るため、1-2泊程度の短期入院が基本となります。日帰り手術も可能な症例では、当日帰宅できる利点もあります。

日帰り手術は可能か?

外反母趾の手術において、日帰り手術は可能な場合もあります。

日帰り手術が可能となるのは、程度の軽い外反母趾で、手術内容が簡略な場合です。具体的には、以下が該当します。

  • 外反角度が比較的小さい場合
  • 骨の形状変化が最小限の場合
  • 軟部組織の手術のみで済む場合

外反母趾の手術では、症例によって日帰り手術の適応が異なるため、術前に担当医からその可否を確認する必要があります。

術後の経過は?

手術直後は術創部の疼痛があるため、痛み止めなどの内服と冷却による処置が行われます。術後1-2週間はギプスや副子による固定を行い、安静を中心とした管理が必要です。

その後、徐々に歩行やリハビリ運動を開始していきます。始めは裸足での歩行訓練から行い、徐々に普段の靴へと移行していきます。併せて、複合関節の可動域訓練や筋力強化運動を行っていきます。

手術から3-6ヶ月程度は経過観察とリハビリを継続する必要があり、完全に元の生活に戻れるまでには個人差があります。定期的な検診と単純X線撮影で術後の経過を評価していきます。

その他

ハイボルト療法

ハイボルト療法は、外反変形した母趾の第一中足骨にスクリューを挿入し、締め付けることで徐々に正しい位置へと矯正していく治療法です。スクリューに付いたボルトを締めることで矯正力を加えていきます。

全身麻酔下でスクリュー挿入手術を行った後、数週間に1度の頻度で徐々に締め付けを強化していきます。痛みを感じることなく、着実に矯正できる利点があります。

本法のメリットは低侵襲なことと、徐々に矯正するために痛みが少ないことです。欠点としては、定期的な通院が必要なこと、治療期間が長期に及ぶことがあげられます。高度な設備と技術が必要な治療法です。

経穴(ツボ)へのアプローチ

経穴療法は、東洋医学で治療に用いる穴や部位を刺激する治療法です。外反母趾には、足の太陽膀胱経や腎経などの経穴が関連しているとされています。

これらの経穴に鍼や指圧を用いてマッサージを行ったり、温熱療法を施すことで、痛みを緩和したり、全身のバランスを整える効果が期待できます。

経穴刺激によってエンドルフィンなどの内因性鎮痛物質が分泌され、疼痛が緩和されると考えられています。全身への影響も大きい治療法です。

欠点はエビデンスが不足していること、治療者の技量に左右されやすいことなどがあげられます。

骨格矯正

骨格矯正は、カイロプラクティックなどの手技療法を用いて、全身の骨格の位置関係を整える治療法です。

外反母趾は足のアライメントの異常や姿勢の乱れが影響していると考えられています。そのため、脊椎や骨盤、下肢の骨格のずれを矯正することで、外反母趾にも好影響を与えるという考え方です。

具体的には、脊椎の固定化解除や関節可動域拡大、筋融解などのテクニックを用いて全身の骨格を整えていきます。

筋膜ストレッチ(リリース)

CMC筋膜ストレッチは、母趾の付け根にあたる第一中足趾関節(CMC関節)周囲の筋膜を伸展させる施術です。

この部位の筋膜は硬化しがちなため、指圧や引っ張りによるストレッチを行うことで、筋膜をゆるめ、関節の可動域を向上させます。

筋膜の動きを円滑にすることで、痛みが改善され、母趾の機能が回復すると考えられています。

一時的な効果にとどまることが多いため、定期的な実施が必要なことです。十分な知識と熟練した技術が求められているのでリハビリとして施術を受ける必要があります。

超音波療法

超音波療法は、周波数の高い音波を患部に照射する物理療法の一つです。

超音波には周囲の血流を増加させる熱効果があり、外反母趾の痛みや炎症を抑える効果が期待できます。

また、組織を微小振動させる機械的効果もあり、関節の可動域改善や筋肉の緊張緩和作用も期待できる治療法です。

頻回な治療が必要な場合があるため、効果を確認しながら慎重に適用する必要があります。

鍼灸

鍼灸は、東洋医学的な治療法の一つで、外反母趾に関連する経絡の経穴に鍼や灸を用いて刺激を加えます。

代表的な使われる経穴としては、足の太陽膀胱経や腎経の穴があります。鍼刺激や灸による温熱効果で、その経路の気血の巡りを整え、痛みを緩和する効果が期待できます。

鍼灸のメリットは副作用が少ないことですが、根拠となるエビデンスが十分でないことが欠点です。また、治療者の技量に左右されやすいのが難点です。

温熱療法

温熱療法は、外反母趾の痛みや炎症がある部位に、温める作用のある湿布や温湿布を当てる物理療法の一つです。

温めることで血行を促進させ、痛みの原因となる炎症を抑えたり、筋肉を弛緩させたりする効果が期待できます。

簡便な器具で実施でき、副作用も少ない治療法です。しかし、温度管理が必要なことや、対症療法的な効果にとどまることが欠点です。

慢性の外反母趾に対しては、炎症の症状緩和を目的に併用することが多いです

外反母趾は遺伝するのですか?

外反母趾は、足の骨格の形状や軟部組織のバランスの個人差に起因することが多いと考えられています。しかし、遺伝的な要因も完全には否定できません。

特に、第一中足骨の形状に関連した外反母趾は、ある程度家族内集積を示すことが報告されています。骨格の遺伝的特徴が関与しているとみられています。

一方で、靴の影響や加齢に伴う変形性外反母趾は、得られた環境的な要因が大きく影響しており、必ずしも遺伝的要因が強く関与している訳ではありません。

したがって、外反母趾の発症には個人の骨格の特徴と、日常生活の中での外的要因の両方が関係していると考えられます。遺伝の影響は一定程度あるものの、決定的な要因とはいえないのが実状です。適切な靴選びと日常の足の健康管理がが大切です。

外反母趾は10代でもなりますか?

外反母趾は一般に高齢者に多い症状ですが、10代でも発症することはまれではありません。

10代は足の骨格が成長途中で柔軟性が高く、スポーツなどでかかる負荷も大きい時期です。そのため、過度な運動や不適切な靴が原因で、外反母趾が発症する可能性があります。

特に、バレエなど足に負荷のかかるスポーツをしている子どもでは、外反母趾の症例が報告されています。また、フラットフィートなど足のアライメントに問題がある場合も、外反母趾のリスクが高まります。

ただし、10代の外反母趾は全体としてはまれで、成人以降に比べ進行も緩やかです。早期に適切な治療を行えば、改善できる可能性が高いと考えられます。運動制限やオーソチックスの使用などで予防できる場合も多くあります。

外反母趾を手術以外で改善する方法

外反母趾を手術以外の方法で改善するには、以下のような対処が効果的です。

 

  • 適切な靴の選択
    つま先に十分な空間があり、動きやすい靴を選ぶ。ハイヒールは避ける。
  • オーソペディックインソール
    インソールを入れることで足のアライメントを矯正し、負担を軽減。
  • トーピングテープ
    医師の指導の下でテーピングを行い、母趾を正常な位置に保持。
  • スプリント固定
    夜間に装着し、母趾の変形を防ぐ。
  • 物理療法
    疼痛緩和と可動域改善を目的に、超音波治療や温熱療法などを活用。
  • リハビリ運動
    母趾の関節可動域改善や筋力強化運動を行う。
  • 体重管理
    過度な体重は足に負担がかかるため、適正体重の維持が重要。

これらの対策を組み合わせ、日常生活での注意と定期的なケアを続けることが重要です。

外反母趾はなぜ赤みを帯びたり、痛くなったりするのか

外反母趾では、母趾が外側に傾くことで第一中足趾関節に過度の負荷がかかります。この関節は通常、屈伸と少しの横動きしかありませんが、外反変形により通常以上に動かされるため、関節軟骨の磨耗や変形が生じます。

これにより、関節内に炎症が起こり、赤みや痛みを引き起こします。また、母趾が他の足指にこすれることで、痛みや赤みが増強する場合もあります。

加えて、母趾の付け根にある称爪趾屈筋は通常とは異なる方向に引っ張られ続けるため、筋肉疲労や筋膜炎を起こし、痛みの原因となります。

このように外反母趾では、関節への局所的な負担と周囲筋肉への疲労が複合的に作用し、赤みや疼痛をもたらすのです。

外反母趾に有効なストレッチや自分でできるセルフケアはありますか?

  • 母趾ストレッチ
    母趾をできるだけまっすぐに引き伸ばし、15秒保持。倍角度でもOK。
  • CMC関節の運動
    母趾の付け根を動かし、円を描くように回転。15回×2セット。
  • 足の裏マッサージ:テニスボールなどで圧迫
    足裏全体を10分程度マッサージ
  • 足指の屈伸
    足指を1本ずつゆっくりと屈伸。各10回ずつ行う。

このように、母趾と足全体の関節可動域改善、筋肉の緩み促進を目的とした簡単なセルフケアを行うことが効果的です。痛みが強い時は無理せず、痛みが収まった後に実施しましょう。

外反母趾に有効なテーピングはありますか?

  1. 正中法
    母趾を正常な位置に戻すため、医師の指導のもとテープを貼ります。
    はじめに指間にテープを貼り、次に母趾を正中線上に持ってきてテープで固定します。
  2. 小趾引き法
    母趾の外側にテープを貼り、小趾の方向へ引っ張るようにテーピングします。
    これにより母趾が内側に引き戻されます。

テーピングのポイントは、

・医師の指導のもとで実施する
・1-2週間に1度テープを替える
・徐々に慣らしていく

ことが大切です。個人差があるため、効果を見ながら続ける必要があります。

外反母趾に有効な足底板(インソール)はありますか?

外反母趾に有効な足底板(インソール)としては、以下のようなものがあります。

  • アーチサポート型インソール
    足の内側のアーチ部分を支えることで、外反母趾の原因となるフラットフィートを改善する。
  • トゥポスト型インソール
    母趾の付け根にクッションを設置し、母趾にかかる負担を軽減する。
  • 凹型インソール
    母趾の変形に合わせて凹部を設け、正常な位置に保持する。
  • バー型インソール
    母趾とその他の足指の間に分離用のバーを入れることで、こすれを防ぐ。
  • ゲルパッド入りインソール
    パッド部分にシリコンゲルを入れることで、衝撃吸収効果がある。

インソールの選び方は、足の変形状況や症状に合わせて医師と相談することが重要です。

外反母趾の手術はについて

入院期間

外反母趾の手術の入院期間は、行う手術の内容によって異なります。

軟部組織の手術の場合は1-2週間の入院が一般的です。皮膚や筋肉、靭帯を切開し直す手技のため、傷の回復にはある程度の時間がかかります。

骨切り術では骨を部分切除するため、2-3週間程度の入院期間を要します。骨の癒合には時間がかかるため、安静と抗生剤による感染防止が重要となります。

関節固定術は1-2週間の入院で済むことが多いのですが、固定具の除去までには1-2か月を要することもあります。

いずれの手術も、個々の患者の状態に応じて、医師が適切な入院期間を判断しています。

リスクについて

外反母趾の手術の主なリスクは以下の通りです。

  • 感染症のリスク
    手術部位の感染は重大な合併症の一つ。術後は抗生剤の使用や日常の衛生管理が重要。
  • 麻酔のリスク
    全身麻酔では、まれに呼吸抑制などの重篤な副作用が起きる可能性がある。
  • 術後疼痛
    手術部位は術後しばらく痛みが続くのが通常。痛み止めの使用が必要になる。
  • 骨融合不全
    骨切り術後にまれに骨の癒合が不十分となり再手術が必要になる場合がある。
  • 反対側への負担増加
    手術した足に負担がかからないようにするため、反対側への負担が増える。

適切な対処を行えば重大なリスクは避けられるが、個人差があることに留意が必要。

手術の合併症について

外反母趾の手術の合併症の発生頻度は以下のような傾向があります。

  • 術後感染症:5%程度
    感染対策が不十分だと発生率が高くなるが、抗生剤使用と衛生管理で予防できる。
  • 骨融合不全:5%未満
    骨切り術後のまれな合併症。喫煙はリスクを上げる。
  • 指趾の知覚異常:10%程度
    一時的な知覚鈍麻が多く、長期の知覚障害は5%未満。
  • 関節拘縮:15%程度
    運動不足や長期の固定が原因で起こりうる。早期のリハビリで予防できる。
  • 反対側への負担増加:30%前後
    手術後は反対側に体重がかかりやすいため注意が必要。

合併症の多くは、術後のケア次第で軽減あるいは予防が可能です。丁寧な対応が重要となります。

入院中のリハビリと退院後の生活について

入院中のリハビリ

入院中のリハビリは、早期から術後の合併症を防ぐことが目的です。

手術当日からは、安静による血栓形成を防ぐため、できる範囲で足関節の運動を開始します。積極的に足首を上下左右に動かすことで、下肢の血流を促進します。

翌日からは、潰瘍防止と廃用症候群の予防のため、医師の許可を得て徐々に立位訓練を開始します。立ち上がり方、杖の使い方、歩行器の操作方法を理学療法士の指導の下で習得していきます。

手術部位が痛みを伴うため、ギブスや包帯などで保護しながら、可能な範囲での足関節や指の運動、筋力訓練を行います。徐々に包帯を外して傷の状態を確認し、問題がないことを確認しながら、運動量を増やしていきます。
安全な範囲で積極的なリハビリを心がけることが大切です。

退院後の生活

退院後の2-3ヶ月間は、手術をした足に過度の負担がかからないよう注意する必要があります。

医師の指示に従い、ギブスや特殊なシューズを装着して足を保護します。松葉杖や歩行器を使用することで、手術足に体重がかからないようにします。

定期的にリハビリに通院し、理学療法士の指導の下、関節可動域や筋力の訓練を続けることが大切です。

手術後2-3ヶ月経てば通常の靴が履けるようになりますが、無理なく徐々に慣らしていく必要があります。

回復と同時に、手術部位への過度な負担が生じないよう、リハビリと生活のバランスを考慮することが重要です。

外反母趾はどのようなタイミングで受診すべきですか

  • 母趾の痛みが続くようになった場合
  • 母趾の赤みや腫れが生じている場合
  • 母趾を動かすのが困難になった場合
  • 母趾の付け根が突出した形になった場合
  • 母趾が他の足指とこすれ合うようになった場合
  • 靴を履くと母趾に痛みがある場合
  • 歩行時に母趾が痛む場合
  • 足先がしびれるような症状が出るようになった場合

外反母趾では、自覚症状が出現する前の段階から徐々に変形が進行していることがあります。そのため、異常を感じなくても定期的に足の状態をチェックすることが大切です。半年に1回ほど、足の状態を確認し、母趾の位置や形状に異常がないか注意することをおすすめします。

もし母趾に違和感や痛みなどの自覚症状が現れた場合は、早めに整形外科を受診する必要があります。母趾と靴のこすれによる痛みや、歩行時の疼痛などが生じたら、すぐに受診するようにしましょう。

高齢者は特に定期的な検診時に母趾のチェックをしてもらうことも重要です。気づかないうちに進行していることがあるため、定期検診でのスクリーニングが早期発見につながります。

自覚症状の有無に関わらず、定期的なチェックが必要不可欠です。異常を感じたらためらわず受診し、適切な治療を開始することが大切です。