30代以降の女性に多く発症する関節リウマチは、関節の痛みや腫れなどが現れ、やがて重症化すると関節が変形したり曲げ伸ばしが困難になったりすることもある病気です。
関節リウマチは「ストレスに弱い人ほどなりやすい」、「慢性的なストレスが原因で発症する」といった内容を耳にすることがありますが、果たしてこれは本当なのでしょうか。
本記事では、関節リウマチを発症する原因とストレスとの関連性を解説します。
個人の性格によって発症リスクは左右されるのか、痛み以外で現れやすい症状についても紹介します。
関節リウマチの原因は?
関節リウマチという病気は現在も研究が進められていますが、どういった人が罹患するのかはっきりとしたことは分かっていないのが現状です。
そのなかで、なぜ関節リウマチが発症するのか、基本的なメカニズムや原因として考えられていることを解説しましょう。
関節リウマチは自己免疫性疾患
関節リウマチとは、手指や肘、肩、膝など、身体のさまざまな関節に腫れと痛みが現れる病気のことをいいます。
ヒトの関節内部には滑膜とよばれる組織があり、関節液を分泌することで軟骨へ栄養を供給し関節の動きをスムーズにする役割を果たしています。
しかし、この滑膜に炎症が起こると徐々に腫れていき、やがて関節の骨や軟骨組織までもが破壊され関節そのものが変形することがあります。
近年の研究で、滑膜の炎症は私たちの体内に本来備わっている免疫という仕組みに異常をきたしたときに引き起こされることが分かってきました。
すなわち、関節リウマチは自己免疫性疾患(自分の免疫が自分の関節を破壊してしまう病気)の一種といえるのです。
▶関節リウマチかもしれない初期症状や変形性関節症との違いを解説
ストレスが直接的な原因ではない
関節リウマチに悩む人は数多く、特に30〜50代の女性に発症しやすい傾向が見られます。
また、これまで関節リウマチは「ストレスが主な発症原因である」といわれることが少なくありませんでした。
しかし、関節リウマチの直接の発症原因はあくまでも免疫異常であり、ストレスそのものが直接的な引き金になることはないとされています。
すなわち、関節リウマチの発症には免疫に関連する遺伝的な要因に喫煙、歯周病などの環境因子が深く関係し、そこにストレスが間接的に関係しているのです。
ただし、慢性的なストレス要素が加わることで免疫機能が弱まり、関節リウマチを発症するリスクが高まることが分かっています。
同時に血流の低下も招き、栄養や酸素を体内に運んだり、老廃物を体外に排出する力も弱くなります。
その結果、自律神経が乱れ活性酸素やサイトカインとよばれる物質が体内で大量に発生し、正常であるはずの細胞組織を破壊することもあるのです。
そういった意味では、ストレスという要素が間接的な発症原因になる可能性は十分考えられます。
すでに関節リウマチを発症している場合には、重症化するおそれもあるのです。
そのため、関節リウマチを発症・重症化させないためには、ストレスとうまく付き合っていくことが大切といえます。
関節リウマチになりやすい性格とは?
大前提として、個人の性格が直接的な原因となって関節リウマチを発症することはありません。
ただし、上記でも紹介した通りストレスが間接的な要因になる可能性は十分あります。
特に、以下に該当する性格の人は要注意といえるでしょう。
ストレス耐性が低い人
ストレスを感じる事象や程度は人によっても異なります。
たとえば、仕事で些細なミスをしたとき、必要以上に落ち込む人もいれば楽観的に考える人もいます。
前者は良く言えば「責任感が強い人」ともいえますが、見方を変えれば「ストレス耐性が低い人」ともいえるでしょう。
ストレス耐性が低い人ほど、他人から投げかけられた些細な一言や何気ない行動で落ち込み、自分でストレスを抱え込む傾向が見られます。
日常的にこのようなストレスがかかり続けていると、免疫力の低下を招き関節リウマチをはじめとしたさまざまな病気の発症リスクが高まるでしょう。
神経症的傾向がある人も要注意
神経症とは、主にストレスが原因で精神の不安や不調をきたす精神疾患で、かつてはノイローゼともよばれていました。
神経症的傾向は神経症そのものではありませんが、感情的になりやすく繊細で、悪い言い方をすれば情緒不安定な傾向が見られる性格を指します。
また、神経症的傾向が高い人ほどネガティブで悲観的な感情を抱きやすく、ストレスを抱え込む傾向も見られます。
実際に関節リウマチの患者を対象にした心理状況の調査を見ても、40~70%の患者に神経症的傾向が見られたとの報告があります。
このような性格の人は一定の発症リスクがあるといえるでしょう。
我慢強い人は重症化のリスクがある
体調の変化や身体の一部に痛みや違和感があっても、「そのうち治るだろう」と気にせず放置する人も少なくありません。
また、もともと痛みに強い人や我慢強い性格の人は、多少の痛みがあっても病院を受診せず我慢するケースもあります。
関節リウマチを発症して間もない頃は、見た目にほとんど変化が見られず深刻に捉えないことも多いです。
しかし、一度発症すると関節リウマチは日々進行していき、治療を行わないでいると重症化し関節組織の破壊や関節そのものが変形するリスクも高まります。
そのため、我慢強い性格の人ほど重症化しやすく、病院を受診した頃にはすでに関節が破壊されているなど状態が悪化しているケースが少なくありません。
▶関節リウマチは治るの?検査から診断基準、治療までの流れをご紹介
関節リウマチのしびれの原因
関節リウマチを発症すると、関節の腫れや痛みだけでなく手足などの末端にしびれが生じたり、思うように力が入らないなどの症状が現れることもあります。
関節リウマチによって起こるしびれは、関節部分の骨の変形や脱臼などによって周辺の神経を圧迫した結果現れる症状です。
ただし、手足のしびれは必ずしも関節リウマチだけが原因とは限りません。
ほかの理由によって神経が圧迫されているケースや、血流そのものの流れが悪化して生じている可能性も考えられます。
まずは医療機関を受診し原因を特定することが大切です。
場合によっては手術をしなければならないこともあるため、できるだけ早めに診てもらいましょう。
関節リウマチの発熱の原因
一口に関節リウマチといっても人によって現れる症状や程度はさまざまです。
関節の痛みや炎症とあわせて多いのが、風邪のような発熱の症状です。
炎症が強いと微熱が出る場合がある
関節リウマチの初期症状として、37℃程度の微熱が見られることがあります。
これは免疫システムに異常をきたした結果、自分自身の組織を敵と見なして攻撃するために現れる症状です。
特に関節の炎症が強い場合に微熱が現れることが多く、あわせて全身の倦怠感や食欲の低下なども見られます。
はじめのうちは風邪と混同する患者様も少なくありません。
風邪薬を飲んでも微熱が収まらず、さらに関節の腫れや痛みが強く現れてきた場合には関節リウマチの可能性が考えられます。
早めに医療機関を受診してください。
高熱は要注意!合併症の危険が
関節リウマチによって現れるのはあくまでも37℃前後の微熱であり、それ以上の極端な高熱が現れることはありません。
もし、38℃台やそれ以上の発熱が見られる場合には、関節リウマチとは別の合併症を引き起こしている可能性が考えられます。
関節リウマチの治療中は免疫力を下げる薬を処方されることがあり、風邪やインフルエンザなどの感染症にかかるリスクが増大します。
急な高熱が出たにもかかわらず、そのまま免疫力を下げる薬を飲み続けているとさらに重症化するおそれがあります。
早急に医療機関を受診することが大切です。
まとめ
関節リウマチは自己免疫性疾患であり、免疫の異常が直接的な原因で発症します。
ストレスは免疫力と密接な関係があり、慢性的なストレスが間接的な要因となって関節リウマチの発症リスクや重症化リスクを高める可能性は十分あります。
また、神経症的傾向やストレス耐性が低いなど個人の性格も影響することがあります。
微熱や倦怠感、関節の痛みなど関節リウマチの初期症状が見られた場合には、できるだけ早めに医療機関を受診し治療をスタートさせましょう。
藤沢駅前順リハビリ整形外科のアクセスマップ
藤沢駅前 順リハビリ整形外科 院長 渡邉 順哉
経歴
●東邦大学 医学部 卒業
●横浜市立大学附属市民総合医療センター 整形外科
●藤沢駅前順リハビリ整形外科 院長
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