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藤沢駅前順リハビリ整形外科院長の渡邉順哉です。
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当院の骨粗鬆症撲滅にかける想い
今回は、骨密度が正常なのに骨粗鬆症と診断される方が増えてきています。
現在も藤沢駅前順リハビリ整形外科が最も力を入れて取り組んでいるのが骨粗鬆症診療ですが、
さらに今後一番力を入れていきたいと思っているのも骨粗鬆症です。
何故、私が骨粗鬆症にこだわるかというと、本気で骨粗鬆症を日本から撲滅したいと思っているためです。
実は、骨粗鬆症による大腿骨骨折が先進国で増えている国がひとつだけあって、その国は日本なんです。
日本人の死因はガンが断トツトップですが、このガンの検診率は世界的にみても先進国の半数くらいで40%程度とかなり酷いと言われています。
実は、99%以上が骨粗鬆症が原因である大腿骨骨折の死亡率もガンとほぼ一緒です。
しかし、骨粗鬆症の検診率はどうでしょう?
一番良い県でなんと15%、
神奈川県に関してはワースト3位の1%です。
骨粗鬆症は女性の場合、平均60代で、早い方だと40代からなってしまいます。
男性でも平均85歳頃には骨粗鬆症になります。
ガンと違い、誰でも年齢を重ねれば掛かってしまう病気、それが骨粗鬆症です。
こう聞くと、骨粗鬆症は加齢でしょ?なったもんは仕方ないんじゃないの?どうせ治せないんでしょ?
とおっしゃる意見を良く効きます。
これは、私は国や学会の啓蒙不足としか言いようがありません。
知らないものはしょうがない、そう思われるのも当然と思います。
しかし、骨粗鬆症は治療することで、十分骨折を予防することが出来ます。
特に骨粗鬆症になりそうな段階で見つけて、早期治療しておくことで、そんな大変な治療をせずに済むことが多いです。
例えば、ガンの場合、早期ガンであればその部分だけ内視鏡で小さく切り取って終わりですが、進行してから見つけても臓器丸ごと取り除く必要があったり、もう手遅れの場合があります。
骨粗鬆症も同じです。
よく背中が丸まってきて背が縮んできたら骨粗鬆症を調べましょうと啓蒙されていることがありますが、その時点では背骨が潰れ場合によっては重症な骨粗鬆症になっている状態です。
その状態から治療してもなかなか良くなりませんし、骨粗鬆症の治療にはかなり時間が掛かりますので、骨が強くなっていく過程でまた骨折を繰り返してしまい段々と動けなくなっていく方、全然珍しいことではありません。
こうなる方の多くは70代以降で、恐らく10年、20年前に何らかの兆候が認められるはずです。
例えば、血液検査では骨がどれだけ壊されやすい状態にある方、栄養状態が悪い方、卵巣や腎臓などの病気を患っている方など、これらは40~50代の頃にはすでに骨密度が下がり始めているケースが多いです。
そこで、精密検査さえしておけば、その時点で治療を開始していれば、背骨が潰れて背中が丸まったりせずに済むのです。
10年前に出会っていれば、今頃背骨はまっすぐのまま生活できていたのに、と悔やまれる方に大勢出会ってきました。
私は心の底から、こういった方を減らしていきたいと思っています。
骨粗鬆症治療に必要な3つのこと
では、ただただ骨粗鬆症の検査を受けておけばいいんでしょうか?
ここで、私は注意してもらいたことがあります。
私はよく患者さんに骨粗鬆症の検査はしていますか?と聞きます
すると下のような答えが返ってくる場合があります
「糖尿病で通院している内科でビタミンDは処方してもらっているが調べてはいない」
「足の骨を数年前に測って大丈夫でした」
「先日、手首で骨密度を調べて問題ありませんでした」
「毎年、腰と大腿骨の骨密度を調べてもらっていて、徐々に下がってきていますが、今のところ骨粗鬆症にはなっていないです」
骨粗鬆症を本気で取り組んでいる私からすると、どれも不十分です。
何が骨粗鬆症に本気で向合うために必要なのか3つお伝えします。
①骨密度検査
骨粗鬆症を診断するには、現在は腰の骨と大腿骨(股関節)の骨密度検査は必須です。
手首で調べる骨粗鬆症検査は腰の骨と大腿骨で調べる機械がない場合には手でも調べないよりは良いよというものです。
なぜ、手首ではなく、腰や大腿骨なのかというと、手首の骨折だけでは腰や大腿骨の骨折と比べると将来の寿命にはあまり大きな影響がないという統計データがあるからで、より寿命に大きく影響する部位の骨密度を図りましょうというのが、骨粗鬆症の検査の大前提です。
ましてや、足で測る検査は、薬局などでお試し検査程度で調べるならまだしも、診断・治療には使わないようにと言われている検査になります(当院でも比較したところ、大腿骨・腰椎骨密度と足の数値は20-30%も違うケースも珍しくなく、当てにしてはいけないことが良く分かりました。)
未だに、検査機のコストなどの問題で、足や踵だけで検査する医療機関があることはとても残念に思います。
②骨折の確認
いいえ、待って下さい。
もう一つ、骨粗鬆症の診断に必要なものは、骨折の確認です。
あまり知られていませんが、骨密度が正常でも、今までに骨折があるかないかで診断される場合があります。
まさに骨密度が正常な骨粗鬆症というものです。
大人になってから例えば肋骨や手首の骨や足首や肩の骨を折ったとしましょう。
骨折の経験がなければ、腰や大腿骨のいずれかの骨密度が70%を下回った時点で骨粗鬆症という診断となります。
しかし、このような骨折を起こした場合、骨密度が80%を下回ると骨粗鬆症という診断に基準が厳しくなります。
では、骨折の経験がないし、骨密度が正常だから大丈夫かというとまだ早いです。
実は、いつの間にか骨折というものが残っています。
これは、ほとんどが背骨に起きてきます。
骨密度が正常でも、背骨が潰れている場合があり、潰れ方が軽い場合は特に痛みもなく自然と潰れていることがあります。これはレントゲンを必ず撮るようにしないと分かりません。
レントゲンで、背骨の厚みが最低20%以上潰れていればその背骨は圧迫骨折という診断になります。
実は、一つでも圧迫骨折があれば、いくら骨密度が正常でも、骨粗鬆症という診断になります。
本来はここまでしないと本当は骨粗鬆症なのに、骨密度は大丈夫ということで経過観察になってしまっている方がとても多いのです。
さて、ではなぜ骨密度が正常なのに骨が弱くなり、背骨が潰れるのでしょうか。
これには骨質が関係していると言われています。
骨密度は骨量と言われ骨に含まれるミネラルの量を示しています。
例えれば、鉄筋コンクリートの建物のコンクリート部分に当たります。
これらは骨の強度の70%分と言われています。
要するに骨密度は骨の強度の70%しか担保できていませんよということです。
では残りの30%は何か?
それは骨質と言われ、コラーゲンの部分と言われています。
先ほどの鉄筋コンクリートでいう鉄筋部分です。
ビル(骨)で考えれば、簡単ですが、コンクリート部分(骨密度)だけ大丈夫でも鉄筋(骨質)がもろくなっていればビル(骨)は簡単に崩れて(骨折)しまいますね?
実はここ10年ほど前から世界的にこの骨質がとても注目されています。
骨粗鬆症にも3つタイプがあります。
- A.骨密度低下・骨質正常型 50%
- B.骨密度正常・骨質劣化型 30%
- C.骨密度低下・骨質劣化型 20%
骨折しやすい順だとC⇨A⇨Bです。
骨粗鬆症の70%は骨密度が低下し、50%は骨質が劣化していることになります。
全体の30%は骨質だけ劣化し、骨密度は正常という、いわば骨密度正常の骨粗鬆症がなんと30%もあるのです。
実は大腿骨と腰の骨密度だけでは30%の骨粗鬆症の方を見逃していることが分かりました。
骨質劣化型の骨粗鬆症の方で、背骨の圧迫骨折に至っていれば骨粗鬆症と診断できますが、圧迫骨折になるまで骨質劣化型の骨粗鬆症を診断できないのは困りますよね?
そこで、開発されたのがTBS(海綿骨構造指標)という骨質を調べる解析ソフトです。
こちらの解析ソフトを現在の骨密度検査機に導入すると腰の骨の質を調べてくれます。
実はこのソフト数年前に発売されたのですが、導入に数百万円(大腿骨の骨密度検査機がもう一台買える費用)が掛かること、保険適応になっていないため診療報酬が一切得られないのが理由で大腿骨の骨密度検査機を所有している医療機関でもほとんど導入していないのが現状のようです。
藤沢駅前順リハビリ整形外科は私が何とか骨質が劣化した方を背骨などの骨折を起こす前に救いたいという思いから、高額で赤字覚悟の上、2021年2月に導入しました。
※導入直前までは、ソフトの費用を回収する目的で患者様から追加で別途費用を頂くことも検討していましたが、結果として希望者が減ることで骨質劣化型の骨粗鬆症の方を見逃すことは本望ではないと考え、現在のところ無償で検査結果を提供させて頂いております。(今後は変更になる可能性があります)
1カ月半以上に渡り、骨質を解析してきた結果、概ね骨密度と骨質は同じような結果になる方が多かったですが、
肋骨骨折などを起こしたのに骨密度が正常のため骨粗鬆症と診断されていなかった患者様の中には、骨質だけが著しく劣化している結果を認める方も少なくありませんでした。
実は、今までビスホスホネート製剤で骨粗鬆症の治療を長年続けてきたのに、以外にもTBSの結果から骨質が悪いのが発覚し、ビスホスホネート製剤は骨密度の上昇効果は良いのですが骨質は変えないか場合によっては劣化させてしまうケースもあり、SERM製剤やビタミンK製剤、場合によってはビタミンB6のサプリなど、骨質を改善しうる薬への変更する判断材料になりました。
今回、TBSソフトを導入することにより、治療方針を決定するための判断材料が増えて、より患者様に合ったオーダーメイドな骨粗鬆症治療を提供することができるようになってきました。
③血液検査
さて長くなりましたが、まだ骨粗鬆症治療に必要な3つ目をお伝えしていませんでした。
それは、血液検査(骨代謝マーカー・ビタミンD・ビタミンK、カルシウム)です
私はもうこれらを無くして、骨粗鬆症治療は語れないと思っているくらい、無くてはならない検査だと考えています。
特に大事だと思っているのは、骨代謝マーカーのうち、骨をどれだけ壊しやすいかが分かる血液の項目があります。
骨は常に作ったり壊したりを繰り返していますので、どれだけ速いペースで骨を壊すのかどうかというのはとても重要になってきます。
実は、60歳くらいで骨年齢が100歳のような骨密度が極端に低い方は、この骨を壊すという速度がかなり速くなってしまっているケースがとても多いのです。
その原因の多くは、性ホルモンです。
女性は閉経や卵巣の摘出手術により、女性ホルモンが大幅に減ります。
これには個人差が大きく、大幅に減ると、減る前までは女性ホルモンが抑えていた骨を壊す細胞が活発になってきてしまいます。
男性も男性ホルモンが減ると同じような現象が起こります。
実は、この骨を壊す速度というのは、生活習慣など自力での調整はほぼ難しいですが、女性ホルモンに似た薬や、骨を壊す細胞を抑える薬を使うことで、十分に抑えることが出来ます。
その薬により、骨を壊す速度は正常まで抑えることができ、僅かながら徐々に骨密度は改善しやすくなります。
しかし、女性の場合この骨を壊す速度が速まるのは50代前後で来ますから、私はこの時点で定期的にこの検査を受けることを強く推奨しています。
早期に破壊しやすい状態を見つけて抑えた方が、よっぽど簡単な治療薬で済むからです。
途中で治療を止めると、また骨を破壊しやすい状態に戻ってしまうので、一生治療は必要ですが、骨年齢が100歳になってから治療するよりは断然らくちんです。
それ以外にもビタミンDは私も含め足りない方の方が多いのでとても大事です。
腸で食べ物からカルシウムを体内に吸収するビタミンDが足りないと、骨は弱くなりますし、免疫力も低下するのでコロナに罹る心配もあります。
こちらは不足状態に合わせてビタミンDの補充により解決できます。
ビタミンKも体内のカルシウムを骨にくっつけるのに必要なビタミンなので、一度調べておくのは大事です。
ビタミンDと比べると不足している方は少ないですが、足りていない場合は処方薬により骨の質を改善できます。
それ以外にもビタミンDが不足しているのに、血液中のカルシウムがやけに多い場合があります。
その場合は、副甲状腺ホルモンを大量に作ってしまう腫瘍が副甲状腺に出来ている場合があり、それにより骨が弱くなるため、場合によっては副甲状腺の腫瘍を摘出する手術が必要になる場合があります。
まとめ
まだまだ、骨質を調べる血液検査もあり、今後の課題として考えています。
藤沢駅前順リハビリ整形外科を選んで来て頂ける方に、今後もより良い骨粗鬆症診療の提供を目指して参ります。
今回は今までで一番長い内容となりましたが、日本の骨粗鬆症診療を少しでも良くしていければと思い投稿してみました。
藤沢駅前順リハビリ整形外科院長 渡邉順哉
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