骨粗鬆症は、高齢者の方々に多く見られる病気であり、骨がもろくなっていくため、転倒や骨折につながる可能性が高くなります。
しかし、適切な予防方法を取ることで、骨粗鬆症を予防することができます。
骨粗鬆症は、放置しておくと寝たきりの原因になることもあるため、適切な予防策を行うことが重要です。
定期的な健康診断や、医師の指導を受けながら、健康的な生活習慣を心がけましょう。
骨粗鬆症の予防をすべき人の特徴
骨粗鬆症の予防をすべき人には、以下のような特徴があります。
高齢者
加齢によって骨密度が低下し、骨粗鬆症になりやすくなります。
女性
女性は、更年期以降のホルモンバランスの変化によって骨密度が低下しやすいため、男性に比べて骨粗鬆症になりやすい傾向があります。
小柄な体型の人
小柄な体型の人は、骨量が少ないため、骨粗鬆症になりやすい傾向があります。
運動不足な人
運動不足な人は、骨に刺激を与えることができず、骨量が減少しやすくなります。
栄養バランスが偏った食生活をしている人
カルシウムやビタミンDなどの栄養素が不足すると、骨の形成が妨げられ骨粗鬆症になりやすくなります。
以上のような特徴を持つ人は、予防のために、適度な運動やバランスの良い食生活を心がけることが重要です。
予防策としては、適度な運動やバランスの良い食生活が挙げられます。
例えば、ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動を行うことで、骨に刺激を与えることができます。
また、カルシウムやビタミンDなどの栄養素を含む食品を積極的に摂取することも大切です。
さらに、医師の指導の下で、適切な薬物療法を受けることも予防策の一つです。
骨粗鬆症の治療薬は、骨の形成を促進する薬や骨吸収を抑制する薬があります。
高齢者や骨粗鬆症になりやすい人は、自分自身の骨密度を把握し、予防策を実践することが重要です。
予防が遅れた場合は、骨折などの合併症を引き起こすことがありますので、早期発見・早期治療が必要です。
参考文献:National Institute of Arthritis and Musculoskeletal and Skin Diseases. Osteoporosis: Peak Bone Mass in Women. [Online] [Cited: 16 February 2023.] https://www.niams.nih.gov/health-topics/osteoporosis/peak-bone-mass-women.
U.S. Department of Health & Human Services. Bone Health: What You Need to Know. [Online] [Cited: 16 February 2023.] https://www.nia.nih.gov/health/bone-health-what-you-need-know.
International Osteoporosis Foundation. Risk Factors. [Online] [Cited: 16 February 2023.] https://www.osteoporosis.foundation/health-care-professionals/risk-factors.
▶︎骨粗鬆症の初期症状は気づきにくい?|骨粗鬆症の原因も解説
骨粗鬆症の予防対策①:食事
骨粗鬆症の予防には、適度な運動や栄養バランスの良い食事が重要です。
カルシウムやビタミンD、タンパク質、マグネシウム、亜鉛などの栄養素を含む食品をバランスよく摂取することが、骨密度の維持や増加につながります。
以下は、骨粗鬆症の予防に効果的な食べ物とレシピの例です。
カルシウムを含む食品
カルシウムは骨の主要な構成要素であり、骨粗鬆症の予防には欠かせません。
乳製品や豆腐、小魚などが良いカルシウムの源となります。
【レシピ】
- 牛乳や豆乳を使ったスムージーやプリン
- チーズやヨーグルトを使ったサラダやデザート
ビタミンDを含む食品
ビタミンDは、カルシウムの吸収や利用に必要な栄養素です。
日光浴やサプリメントを摂取することも効果的ですが、ビタミンDを多く含む食品を摂取することも大切です。
【レシピ】
- サーモンやマグロなどの脂肪の多い魚料理
- 卵黄を使ったスクランブルエッグやオムレツ
タンパク質を含む食品
タンパク質は、骨の主要な構成要素であるコラーゲンの合成に必要な栄養素です。
肉や魚、豆腐などがタンパク質の源となります。
【レシピ】
- 豚肉や鶏肉を使った煮物や焼き物
- 豆腐を使ったサラダや鍋料理
マグネシウムを含む食品
マグネシウムは、骨の強化に必要な栄養素であり、緑黄色野菜や果物、ナッツ類などが豊富なマグネシウムの源となります。
【レシピ】
- ほうれん草やアボカドを使ったサラダ
- アーモンドやピスタチオを使ったスナック
骨粗鬆症の予防には、適切な栄養素をバランスよく摂取することが重要です。
カルシウムやビタミンDをはじめとする栄養素が不足すると、骨の形成や維持が困難になり、骨粗鬆症のリスクが高まります。
カルシウムは、主に牛乳や乳製品、魚介類、緑黄色野菜、豆類などに含まれています。
ビタミンDは、主に日光や魚介類、卵黄、肝臓などに含まれています。
特に、日本人はビタミンDが不足しやすい傾向にあるため、サプリメントの摂取も検討されます。
また、骨粗鬆症予防には、たんぱく質も重要な栄養素の一つです。
魚、肉、豆類、大豆製品、卵などがたんぱく質を多く含みます。
食事だけでなく、適度な運動も骨粗鬆症予防には重要です。
有酸素運動や筋トレ、ウォーキングなどがおすすめです。
総じて、バランスのとれた食事と運動の習慣を身につけることが、骨粗鬆症の予防につながると言えます。
【参考文献】”Diet and osteoporosis prevention” – International Journal of Environmental Research and Public Health
“Dietary and Lifestyle Interventions for Preventing Osteoporosis in High-Risk Groups” – Nutrients
“Osteoporosis and nutrition” – Clinical Cases in Mineral and Bone Metabolism
“The Role of Nutrition in Osteoporosis Prevention and Management” – Orthopaedic Nursing Journa
骨粗鬆症の予防対策②:運動
運動は、骨粗鬆症の予防に非常に効果的であるとされています。
運動によって、骨密度が増加し、骨の強度が向上するため、骨折のリスクを減らすことができます。
具体的には、有酸素運動や重量運動がおすすめです。
有酸素運動には、ウォーキング、ジョギング、水泳、サイクリングなどがあります。
重量運動には、ウエイトトレーニング、筋力トレーニング、ヨガなどがあります。
重量運動は、筋肉を増やすことで、骨に負荷をかけることができ、骨の強度を向上させます。
ただし、運動を行う際には、無理をしないことが大切です。
運動の強度や時間を徐々に増やし、自分に合った運動を選ぶことが重要です。
また、運動を行う前には、必ず適切なストレッチやウォーミングアップを行い、ケガを防止しましょう。
さらに、日常生活でも骨を刺激することができます。
例えば、階段を使ってエレベーターを避けたり、庭仕事や掃除などで身体を動かすことも、骨粗鬆症の予防につながります。
参考文献:Bonaiuti D, Arioli G, Franchignoni F. Exercise for preventing and treating osteoporosis in postmenopausal women. Cochrane Database Syst Rev. 2002;(2):CD000333. doi: 10.1002/14651858.CD000333
Martyn-St James M, Carroll S. Meta-analysis of walking for preservation of bone mineral density in postmenopausal women. Bone. 2008;43(3):521-531. doi: 10.1016/j.bone.2008.05.012
Saunders TJ, Gray CE, Poitras VJ, et al. Compendium of physical activities: a second update of codes and MET values. Med Sci Sports Exerc. 2018;51(5):1046-1057. doi: 10.1249/MSS.0000000000001530
Exercise and osteoporosis: A guide to prevention and treatment. National Osteoporosis Foundation. https://cdn.nof.org/wp-content/uploads/2019/12/Exercise-and-Osteoporosis-Updated-12.19.2019.pdf. Accessed February 16, 2023.
骨粗鬆症の予防対策③:予防薬
骨粗鬆症の対策としての薬には、骨を強くする効果があるものや、骨の吸収を抑制する効果があるものがあります。
以下では、代表的な薬の効果や種類、適応症、副作用について説明します。
骨を強くする薬
骨を強くする薬としては、ビタミンDやカルシウム補充剤があります。
ビタミンDは、カルシウムの吸収を促進する働きがあり、カルシウムは骨を構成するために必要な栄養素です。
このため、ビタミンDとカルシウムを一緒に摂取することで、骨を強くすることができます。
ただし、カルシウムの過剰摂取は腎臓石の原因となることがあるため、摂取量には注意が必要です。
骨の吸収を抑制する薬
骨の吸収を抑制する薬としては、ビスホスホネート系薬剤やRANKL阻害剤があります。
・ビスホスホネート系薬剤
ビスホスホネート系薬剤は、骨の吸収を抑制することで骨量を増やす薬です。
具体的には、アレンドロネート、リセドロネート、ゾレドロネートなどがあります。
適応症としては、閉経後の骨粗鬆症、ステロイド性骨粗鬆症、男性の骨粗鬆症などが挙げられます。
副作用としては、消化器症状(胃痛、下痢など)、筋肉痛、頭痛、骨折などがあります。
・RANKL阻害剤
RANKL阻害剤は、骨吸収細胞の働きを抑制することで骨量を増やす薬です。
具体的には、デノスマブがあります。
適応症としては、閉経後の骨粗鬆症、ステロイド性骨粗鬆症などが挙げられます。
ビスホスホネートよりもより強い骨密度上昇効果が期待できます。
ただし、これらの骨粗鬆症治療薬には副作用があります。
ビスホスホネートには、食道炎や胃腸障害、顎骨壊死などが報告されています。
また、デノスマブには、腎機能低下や骨折、感染症などが報告されています。
SERM製剤は、選択的エストロゲン受容体モジュレーターの略称で、エストロゲンに似た作用を持ち、骨密度を増やす作用があります。
一方で、乳がんリスクを増加させる可能性があるため、乳がんのリスクが高い人には推奨されません。
テリパラチド製剤は、副甲状腺ホルモン(PTH)の一種であるテリパラチドを主成分とする注射剤です。
骨形成を促進し、骨量を増やす作用があります。
通常、2年間の使用が勧められています。
ロモソズマブ製剤は、骨吸収を抑制するモノクローナル抗体です。
1年に1回、注射として使用されます。
2023年2月時点で国内で発売されている骨粗鬆症治療薬の中では最も骨密度上昇効果のある薬です。
骨粗鬆症の予防薬は、主に骨密度が低下している高齢者や骨折リスクが高い人に使用されます。
予防薬の使用には、医師による診断と処方が必要です。
また、予防薬の使用は、運動や栄養バランスの改善、生活習慣の改善などの予防策と併用することが大切です。
【参考文献】日本骨代謝学会. 骨粗鬆症治療ガイドライン2015. https://www.jbmr.or.jp/guideline/pdf/JBMR_guideline_2015.pdf
Cosman F, de Beur SJ, LeBoff MS, et al. Clinician’s Guide to Prevention and Treatment of Osteoporosis. Osteoporos Int. 2014;25(10):2359-2381. doi:10.1007/s00198-014-2794-2
青山 均,川島 毅,小宮 晃,他. 骨代謝に関する基礎的知見とその臨床応用について. 日本整形外科学会雑誌, 2015; 89(2): 67-74.
▶︎骨粗鬆症の治療に使用される注射の一覧と効果・副作用について解説
サプリは骨粗鬆症の予防に効果はある?
骨粗鬆症の予防には、適切な食事や運動が重要ですが、サプリメントを摂取することも考えられます。
以下では、骨粗鬆症の予防に効果的なとされるサプリメントについて紹介します。
カルシウム
骨を作るために必要な栄養素であるカルシウムは、サプリメントで摂取することができます。
ただし、カルシウムを摂り過ぎると腎臓に負担をかけたり、心血管系の問題を引き起こすことがあるため、摂取量には注意が必要です。
ビタミンD
ビタミンDは、カルシウムの吸収を助ける働きがあります。
日光浴や食事から摂取することができますが、サプリメントでの摂取も一般的です。
サプリメントの複合剤
カルシウムやビタミンD以外にも、マグネシウム、亜鉛、鉄、ビタミンKなど、骨に必要な栄養素を含む複合サプリメントも販売されています。
ただし、個人差があるため、自分に合ったサプリメントを選ぶことが重要です。
しかしながら、サプリメントだけで骨粗鬆症を予防することはできず、食事や運動と併用することが必要です。
また、サプリメントを過剰に摂取することは、健康に悪影響を与える可能性があるため、適切な摂取量を守ることが重要です。
【参考文献】
National Osteoporosis Foundation. (2021). Calcium and Vitamin D. https://www.nof.org/patients/treatment/calciumvitamin-d/
Office of Dietary Supplements. (2021). Vitamin D. https://ods.od.nih.gov/factsheets/VitaminD-Consumer/
Harvard Health Publishing. (2018). Calcium and calcium supplements: Achieving the right balance. https://www.health.harvard.edu/staying-healthy/calcium-and-calcium-supplements-achieving-the-right-balance
Weaver, C. M., Alexander, D. D., Boushey, C. J., Dawson-Hughes, B., Lappe, J. M., LeBoff, M. S., Liu, S., Looker, A. C., Wallace, T. C., & Wang, D. D. (2016). Calcium plus vitamin D supplementation and risk of fractures: an updated meta-analysis from the National Osteoporosis Foundation. Osteoporosis
▶︎骨粗鬆症(骨粗しょう症)はどんな検査をするの?検査方法や診断について
骨粗鬆症の予防を怠るとどんなリスクがあるのか
骨粗鬆症は、骨密度が低下することで骨の強度が低下する疾患であり、骨折リスクが高くなります。
特に、高齢者や女性、閉経後の女性などは、骨粗鬆症になるリスクが高く、骨折につながる可能性も高くなります。
例えば、股関節の骨折は、生活の質を大幅に低下させる可能性があります。
また、骨粗鬆症による骨折は、治療やリハビリに時間がかかることが多く、合併症や死亡率も高くなることが報告されています。
また、骨粗鬆症による骨折は、精神的にも影響を与えることがあります。
骨折後、身体的制限や依存度が増加するため、自立した日常生活を送ることができなくなる可能性もあるため、予防が重要です。
したがって、骨粗鬆症の予防は、健康的な生活習慣を維持することが重要です。
適度な運動、カルシウムやビタミンDを含む食事、タバコやアルコールの適量摂取の制限などが効果的な予防方法となります。
【参考文献】National Institute of Arthritis and Musculoskeletal and Skin Diseases. Osteoporosis: overview. https://www.niams.nih.gov/health-topics/osteoporosis#tab-overview. Accessed January 20, 2023.
高齢者のための骨粗鬆症予防ガイドライン作成委員会. 高齢者のための骨粗鬆症予防ガイドライン. 日本老年医学会雑誌. 2016;53(2):143-207.
骨粗鬆症予防・治療の指針2015. 日本骨代謝学会. https://www.jbmr.or.jp/guideline/pdf/JBMR_Guideline2015.pdf. Accessed January 20, 2023.
▶︎骨粗鬆症の治療に使用される注射の一覧と効果・副作用について解説
もし骨粗鬆症になったときは
骨粗鬆症になった場合、適切な治療を受けることが重要です。
まずは、病院で検査を受けることが必要です。
骨密度測定と呼ばれる検査を行い、骨の強度や骨粗鬆症の程度を確認します。
骨密度が低い場合、医師は治療方針を決定し、適切な薬物治療や運動療法を勧めることがあります。
骨粗鬆症の治療には、多くの薬物治療法があります。
ビスホスホネート製剤やデノスマブ製剤などの薬物は、骨を強化するために使用されます。
テリパラチド製剤は、骨の形成を促進するために使用され、SERM製剤は、骨を強化しながら、エストロゲンが持つ他の効果を防止するために使用されます。
また、ロモソズマブ製剤は、骨粗鬆症の進行を遅らせるために使用されます。
治療だけでなく、運動も骨粗鬆症の管理に役立ちます。
適切な運動療法は、骨密度の減少を防止し、骨量を増やすために効果的です。
運動療法の例としては、有酸素運動や抵抗運動、バランス運動などがあります。
以上のように、骨粗鬆症の予防や治療には、食事、運動、薬物治療などが重要です。
早期の発見と適切な治療は、重大な合併症を防ぐためにも重要です。
参考文献:Mayo Clinic. Osteoporosis. https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/osteoporosis/symptoms-causes/syc-20351968
National Osteoporosis Foundation. Osteoporosis Fast Facts. https://www.nof.org/preventing-fractures/general-facts/osteoporosis-fast-facts/
▶︎骨粗鬆症(骨粗しょう症)はどんな検査をするの?検査方法や診断について
藤沢駅前順リハビリ整形外科は骨粗鬆症の治療に特化した専門外来を設置
藤沢駅前順リハビリ整形外科では、骨粗鬆症の治療に特化した専門外来を設置しています。
これは、骨粗鬆症に関する診断や治療について豊富な知識や経験を持つ医師が、患者さん一人ひとりの状態に応じた最適な治療を提供するために設けられたものです。
専門外来では、骨密度測定や骨質検査や血液検査など、骨粗鬆症の診断に必要な検査が受けられます。
また、薬物療法や運動療法、栄養指導など、骨粗鬆症の治療に必要な多彩な治療法が提供されています。
患者さんは、骨粗鬆症についての不安や疑問を専門医に相談することができるため、より安心して治療に臨むことができます。
テレビ取材を受けた骨粗鬆症診療とは?
骨粗鬆症の診療で藤沢駅前順リハビリ整形外科がテレビによる取材を受けた時の動画です。
映像やナレーション、テロップ等を使ったわかりやすい解説となっておりますので、こちらもぜひご覧ください。
まとめ
骨粗鬆症の予防、治療、リスクについて説明しています。
骨粗鬆症は、特に女性に多く、加齢や栄養不良、運動不足などがリスクファクターとなっています。
予防としては、カルシウムやビタミンDを含む食品や運動が効果的です。
治療には、薬物療法や注射療法、手術療法などがあります。
骨粗鬆症を放置すると、骨折や身体機能の低下などのリスクが高まります。
藤沢駅前順リハビリ整形外科では、骨粗鬆症の治療に特化した専門外来があります。
藤沢駅前順リハビリ整形外科のアクセスマップ
藤沢駅前 順リハビリ整形外科 院長 渡邉 順哉
経歴
●東邦大学 医学部 卒業
●横浜市立大学附属市民総合医療センター 整形外科
●藤沢駅前順リハビリ整形外科 院長
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