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手首の骨折について

手関節部の骨折

《疾患概念》

手関節部の骨折は橈骨遠位端、手根骨の舟状骨(しゅうぞうこつ)、月状骨、三角骨、有鉤骨(ゆうこうこつ)などにみられます。橈骨遠位端骨折は高齢者が転倒して手をついたときに発症することが多いです。手根骨骨折は初診時見逃されることが多い骨折で、そのなかでは舟状骨骨折が圧倒的に多くなっています。偽関節になることもしばしばあり、早期の診断治療が重要となります。

 

①橈骨遠位端骨折
《誘因・原因》
骨粗鬆症を有する高齢の女性に多く、転倒して手をついたときに発生します。若年者ではスポーツ活動中などに発生することが多いです。
《症状・臨床所見》
手関節の運動痛、腫脹が高度で出現します。手関節の背屈掌屈のみならず、回内(内側へひねる)回外(外側へひねる)制限も生じます。コレス骨折では外見上「フォーク状変形」という特有の変形がみられます。
検査・診断・分類》
単純X線撮影でほとんどの診断が可能です。骨折が関節面に及んでいるときには、3D-CT検査が骨折型や転位の正確な診断に有用となります。骨折線が単純X線撮影では見えない潜在性の骨折もあり、MRIが骨折の有無の判定に有用となります。骨折線が関節内に及ばない関節外骨折と、関節面に及ぶ関節内骨折があり、前者は遠位端骨片が背側に転位するコレス骨折と、掌側に転位するスミス骨折があります。コレス骨折のほうが圧倒的に多く、後者にはバートン骨折や、多様な粉砕骨折があります。
《治療》
転位が少ない場合には、簡単なシーネ(副子)固定を行います。高齢者では多少の転位が残っても不自由さを訴えないことが多いです。手指、肩など周辺の関節はよく動かすことに努め、余分な拘縮をつくらないことが重要となります。転位が大きいときには、徒手整復を行いギプス固定するか、手術療法のいずれかを選択します。徒手整復・ギプス固定では、適切な麻酔下に手を牽引しつつ転位した骨片を整復し、4~6週ギプス固定を行います。コレス骨折では再転位を防ぐために、尺屈・掌屈位で固定します。しかし、高齢者では整復してもギプス内で再転位を起こすことが多くなっています。手術療法は、徒手整復・ギプス固定では良好な整復位を維持できないときに行います。関節内骨折では関節面の転位を正確に整復することが重要であり、手術療法が必須となります。手術療法に用いられる内固定材により、経皮的鋼線固定、創外固定、プレート固定などさまざまな方法があります。近年では固定力の強い「ロッキングプレート」が開発されたことにより、プレート固定が多く行われるようになっています。

 

②手根骨骨折

舟状骨骨折
《誘因・原因》
橈骨遠位端骨折と同様に手をついて転倒したときに発生します。とくに若年者のスポーツ活動中に発生することが多く、高齢者では舟状骨骨折が起こることはまれです。
《症状・臨床所見》
手関節掌側では舟状骨結節、背側では解剖学的嗅ぎタバコ入れに圧痛、腫脹を生じます。手関節の掌屈、背屈で運動時痛が強くなります。しかし、なかには疼痛が軽く本人が骨折に気がつかないまま偽関節になってしまうこともあります。
検査・診断・分類》
手関節単純X線2方向では舟状骨骨折はわかりづらく、斜方向、または尺屈位で判明することもありますが、初診時には骨折線が見えないこともあり、見逃されることも多いです。骨折が疑わしければMRI検査が有効となります。骨折型を確認するには3D-CT検査を行います。
《治療》
転位が少ない場合にはギプス固定を行いますが、6~8週と長期の固定を要します。転位が大きい、もしくは転位が少なくても早期のスポーツ復帰を望む患者には手術を行います。小切開でheadless screw(ネジ頭のないネジ)を挿入する手術が一般的で、骨折が治療されないまま放置されると偽関節となってしまいます。腸骨から骨移植を行います(Russe法)。

有鉤骨骨折(鉤突起骨折)
《誘因・原因》
ほとんどがスポーツ活動中に発生します。野球のバッドのグリップエンドテニスのラケットなどにより、手掌部尺側に衝撃が加わり発生します。
《症状・臨床所見》
手掌の尺側、豆状骨の遠位橈側に有鉤骨鉤突起を触れますが、この部位に圧痛が強く、バットやラケットを握れなくなります。
検査・診断・分類》
手関節単純X線2方向では診断できません。手根管撮影で骨折線を描出できることが多いですが、CT検査を行うのが確実です。舟状骨骨折と同様に見逃されやすい骨折となっています。
《治療》
保存治療(ギプス固定)では骨癒合は得られず、また骨接合術も困難となります。早期スポーツ復帰のためには骨片摘出術を行うのが一般的です。

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