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骨粗鬆症と骨密度検査について

骨粗鬆症外来

定期的に骨粗鬆症の検査をしていますか?

大腿骨頚部骨折はほとんどが骨粗鬆症に伴って起こる骨折で、骨折後の5年生存率は50%以下と実はガンよりも死亡率が高い骨折です。

特に骨粗鬆症になりやすい方として、女性、高齢者、ご両親に大腿骨骨折や圧迫骨折している方がいる方、関節リウマチ、糖尿病、COPD、慢性腎不全、過去にステロイドや放射線による治療歴のある方、卵巣癌や胃癌などの手術後の方、早期閉経、喫煙、低体重、運動量低下などなど、これらの数が多いほど骨粗鬆症である可能性が高くなります。

 

◆骨粗鬆症とは

《概念》

様々な原因によって全身の骨がもろくなり、簡単な外力によって骨折を起こしてしまいます。骨粗鬆症に伴う骨折として、最も大事なのは大腿骨近位部骨折(大腿骨頚部骨折と大腿骨転子部骨折)と腰椎と胸椎の椎体骨折になります。この骨折は様々な骨折の中でも、その後の生活や寿命に大きな影響を及ぼします。5年以内の死亡率がガンが32%に対し、大腿骨の骨折はなんと54%と死の骨折と言っても過言ではありません。

先日、ガンで14年も闘病していた有名な舞台女優が、大腿骨を骨折された途端75歳で亡くなられてしまったというのは記憶に新しいかと思います。

 

《原因》

あまり知られていませんが、骨は常に骨芽細胞によって作って破骨細胞によって壊すというサイクルを繰り返し3年程度で全て新しい骨に作り替えられています。骨の新陳代謝にはエストロゲンとしう女性ホルモンが大きく関わっています。女性は50歳前後になると女性ホルモンの分泌が減り、閉経が起こります。閉経後は減少した女性ホルモンの影響により、骨を作るのと壊すというバランスが大きく崩れやすくなります。元々、骨は短期間で壊されるのに対し、骨を作るのには数倍の時間が掛かります。女性ホルモンによって制御されていた骨代謝回転が狂い、骨を壊すスピードが速くなり、徐々に骨を作るスピードも遅くなり、徐々に骨がもろくなってしまします。

 

閉経の早かった方は50代で骨粗鬆症になる方もいます。また、体重の軽い方は骨への適度な負荷がかかりにくいため、骨は弱くなりやすく骨粗鬆症のリスクが高くなります。

 

《症状など》

特に症状はありません。骨粗鬆症自体は骨折しない限りは症状を起こさないため、閉経後は定期的に骨粗鬆症の検査をしていないと発見されないまま、発症し進行している場合があります。

 

◆骨粗鬆症治療の目的

高齢になって転倒の回数が増えてきた際にいかに大腿骨頚部骨折を防ぐかにあると考えています。

また、背が縮んで背中が曲がってしまっている方をたまに見かけるかと思いますが、ほとんどが圧迫骨折の負の連鎖によるものです。そうなるのを今のうちから防ぐことも大事です。

特に女性の場合は、閉経というイベントを機に、骨密度が急激に低下し、男性より早く骨粗鬆症を迎えます。 

月経不順や早期閉経、糖尿病、ステロイド治療などの明らかな原因がある場合もありますが、早い方ですと40代で骨粗鬆症を迎えてしまう場合もあります。 

◆当院での骨密度検査機器

大学病院クラスでも導入している、骨密度検査の機械を導入しました。この機械では骨密度検査で有効な部位とされる腰椎と大腿骨の測定をします。

骨粗鬆症のガイドラインでは「大腿骨と腰椎での骨密度検査」を推奨しています。

 
ひと昔の検査で足や腕で測る検査も未だに行っている医療機関がありますが、精密度が違い、大腿骨や腰椎と比べ最大で20%程度誤差があり、骨粗鬆症を見逃す可能性があります。(当院で実証済み)

骨密度検査は所要時間は5分程度で、費用は1割負担の方で450円、2割の方で900円、3割の方で1350円になります。

放射線被曝量は飛行機で関東から関西に行った場合に浴びる放射線量と変わらなくらい微量なのでほとんど心配はありません

当院では骨粗鬆症のガイドラインで定められている診断基準(①骨密度70%未満、②骨折の既往歴+YAM80%未満、③背骨(胸腰椎)の圧迫骨折または大腿骨骨折の既往)に基づき正確な診断を行っております。

※③については、「いつの間にか骨折」を見逃さないために、骨密度検査と合わせて胸腰椎のレントゲン検査を強くお勧めしています。 

◆胸椎・腰椎レントゲン検査
骨密度と一緒に胸椎・腰椎のレントゲンを撮ります。
骨密度検査だけでは診断・治療に必要な「脆弱性骨折」を見つけられないためです。
脆弱性骨折として代表的なものとして大腿骨の骨折と背骨の骨折があります。
大腿骨の骨折は折れたら痛みでまず歩けませんが、背骨の圧迫骨折は痛みがないことも多いためです。それを診断できるのがレントゲン検査になります。
圧迫骨折にも診断基準があり、1つの背骨の高さが2割潰れたら圧迫骨折の診断になります。骨密度が正常ですが、レントゲンを撮ってみると圧迫骨折が見つかることもあります。圧迫骨折があれば骨粗鬆症の診断となりますので、実際骨密度が正常にも関わらず骨粗鬆症の診断となる場合があります。

実は骨の強さは骨の量(骨密度)だけではなく、骨の質が大きく関係しています。
骨の強度=骨密度+骨質
したがって、骨質が良くなければ、たとえ骨密度が正常だったとしても骨の強度しては不十分ということになります。骨密度が正常にも関わらず圧迫骨折がある方は骨質が悪い可能性があります。骨質を血液検査で知る方法はありますが、今のところ保険適用になっていないのが現状です。


◆骨代謝マーカー・ビタミンD検査(血液検査)

骨密度やレントゲンで骨粗鬆症の診断は可能ですが、今後骨密度が下がっていく(骨がもろくわなっていく)かどうかは分かりません。

それを知ることができるのが骨代謝マーカーになります。
骨は絶えず作る→壊す→作る→壊す・・・を繰り返しています。
大人でも3年もあれば全身の骨は全て入れ替わるとも言われているようです。
骨を作るのは骨芽細胞の働き、骨を壊すのは破骨細胞の働きです。
子供や骨折後は骨芽細胞の働きが活発なのでどんどん骨は作られます。
しかし、高齢になるほど骨芽細胞の働きは失われ、女性の場合は閉経前後から女性ホルモンが減るために破骨細胞の働きが活発になって骨は徐々に弱くなっていきます。
この骨を作る骨芽細胞の働きを骨形成マーカー(P1NP)、破骨細胞の働きを骨吸収マーカー(TRACP-5b)で確認します。
閉経後や卵巣摘出をされた女性の場合、この骨吸収マーカーが正常に比べ異常に高くなっていることが多いです。40代後半以降の中年女性で骨密度が年齢相応より明らかに低かった方はこの骨吸収マーカーが高い場合が多いです。そしてこれを放置すると、短期間に大幅に骨密度下がる傾向があります。

◆ビタミンD検査(血液検査)
カルシウムは骨の強度を強くさせるためには大事な材料になりますが、食べても全てが血液に取り込まれるわけではありません。ビタミンDは小腸でカルシムの吸収を促進してくれる働きがあります。9割が皮膚で作られると言われており紫外線をいかに浴びているかが大事になってきます。キノコや魚などから摂取も可能ですが、1割しか関与しないため紫外線を避けて生活している日本人にはなかなか十分な摂取が難しいのが現状で、血液検査をしてみると実に半数以上の方が不足状態か欠乏症と診断されます。また、カルシウムの摂取不足がこれを助長している場合も多いのです。カルシウムを十分に摂取しないと血液中のカルシウム濃度を維持するために腸から吸収できない分を骨からカルシウムを血液に移動させるため、骨からはカルシウムが失われ弱くなっていきます。実際、ビタミンD欠乏症でも血中のカルシウム濃度まで低下してることは比較的珍しいです。アメリカでは牛乳にビタミンDを添加しているそうですが、日本では添加されていないため、意識的にカルシウムやビタミンDを補充する必要があります。カルシウムは1日800㎎は必要ですので最も効率的かつ毎日摂取しやすい牛乳でさえ800ml程度飲む必要があります。
ビタミンDは体内で紫外線によって
不活性型ビタミンDとして作られますが、肝臓や腎臓で一部が活性型となって初めてカルシウム吸収などに働いてくれます。
市販のビタミンDのサプリや紫外線でビタミンDは多少増やせますが、結局は肝臓や腎臓で活性型ビタミンDになるのは一部のみです。効率よくビタミンDに働いてもらうには活性型ビタミンDを摂取するのが手っ取り早いわけです。
しかし、まだ活性型ビタミンDは市販薬としては薬局では売られていませんので、ビタミンDの検査をした上で低い方は活性型ビタミンDを処方してもらうのが良いでしょう。ビタミンDも血中カルシウム濃度や血中アルブミン(低アルブミンの場合はカルシウム濃度の補正が必要)を検査をせずに処方は可能ですが、ビタミンDが足りているのにも関わらず活性型ビタミンDを内服すると高カルシウム血症になり危険ですので、予め血液中のビタミンD、カルシム、アルブミンは測ってもらえる医療機関を選びましょう。

 

◆普段できること

・活発的に動き回りましょう
ウォーキングなどの運動は腰椎の骨密度を上げやすく、ジャンプなど骨に強い刺激が加わる運動は大腿骨の骨密度を上げやすくなります。

・カルシウムを取りましょう
1日800mgのカルシウム摂取を目指しましょう。牛乳や小魚など積極的に摂取しましょう。カルシムのサプリの良いですが、サプリの取りすぎは高カルシウム血症に注意が必要です。

・日光を浴びましょう
10時から15時の直射日光を肌に浴びることで、皮膚でビタミンDが作られます。紫外線が苦手な方は手のひらでもよいです。

・禁煙をしましょう

・女性は45歳を過ぎたら骨密度検査(腰椎+大腿骨)+血液検査(骨代謝マーカーとビタミンD)の精密検査を受けてましょう

 

◆多様な治療薬の選択

骨代謝マーカー(TRACP-5b、P1NP)とビタミンDの血液検査を行った上で、患者さん個々の骨粗鬆症の状態や生活環境に合わせて、生活指導(運動や栄養)や骨粗鬆症治療薬(カルシトニン製剤、ビタミンD製剤、SERM製剤、ビスホスホネート製剤、デノスマブ製剤、テリパラチド製剤、ロモソズマブ製剤)をご提案致します。

骨密度と骨代謝マーカーの検査は約4カ月に1回行い、治療効果を判定し、治療法の継続や変更や中止などをご提案させて頂きます。
 

活性型ビタミンD製剤エルデカルシトール(エディロール)、アルファカルシドー
 ビタミン剤ですが、食べ物に含まれていたり、市販のサプリの不活性型と違い活性化したもののため、全てが腸でもカルシウム吸収と破骨細胞の抑制に働くため、骨吸収マーカーも下がり、骨密度も上昇しやすいです。副作用も少なく処方されることがとても多いです。その中でも、エルデカルシトールが一番効果がありますが、定期的にカルシウム濃度は測った方がよいです。

SERM(サーム)製剤:バゼトキシフェン(ビビアント)、ラロキシフェン(エビスタ)
 女性ホルモンに近いが、骨にしか効かない骨粗鬆症治療薬です。女性ホルモンはもともと破骨細胞の働きを抑えるため、同じように働きます。骨の本来持っているしなやかさ、骨質を主に改善するとされ、ビスホスホネート製剤と比べると骨密度を大幅に増やすには少し弱いです。骨芽細胞の働きは比較的抑えないため、まだ骨形成マーカーが比較的低くない75歳未満の骨粗鬆症には
骨を若返らせてくれる良い薬だと思います。更年期障害のようなほてりなどの副作用はありますが、顎骨壊死のリスクもないため、比較的安全性の高い薬です。女性ホルモンに近いため、女性限定で、男性では使えないのが残念なところです。

ビスホスホネート製剤:アレンドロン酸、リセドロン酸、イバンドロン産、ミノドロン酸、ゾレドロン酸など
 骨粗鬆症の第一選択薬として長年位置している薬です。注射製剤もありますが、骨密度を大幅に上げる内服薬では最強です。破骨細胞の働きを強く抑えこみ、骨が壊されるのを防ぎます。骨吸収マーカーが異常に高い方はとても良く効きますが、骨形成まで抑えてしまうので、骨芽細胞の働きがまだしっかりある75歳未満ではSERM製剤の方がよい場合もあります。
内服薬は起床時に飲み朝食までは30分以上(最近は1時間空ける方がより効果があるようです)待つという薬です。これはもともと消化管からの血液への吸収率がとても悪いため、そこに食べ物が混じると一気に吸収できなくなるためだそうです。開発当初は毎日内服が当たり前でしたが、長期間骨に浸み込んで抜けない薬のため、1週ごと、4週間ごと、1カ月ごと、ついには点滴限定ですが年1回という薬剤も発売されました。どの薬剤も腰椎の骨密度は上がりやすいですが、大腿骨の骨密度も上げやすいかどうかしっかり論文によるエビデンス(証拠)が出ている内服薬は、アレンドロン酸とリセドロン酸になります。5年ほど使うと骨密度の上昇は頭打ちになるため、違う薬剤への変更を考える必要があります。
副作用で多いのは逆流性食道炎や胸やけです。歯科医師が最も気にする顎骨壊死ですが、とても稀なうえに、2016年のポジションペーパーや最近でも骨粗鬆症学会や歯科口腔外科学会が共同でビスホスホネート製剤を中止しても顎骨壊死のリスクは変わらない、ビスホスホネート製剤が顎骨壊死のリスクを増やしている根拠は乏しいと発表してるため、心配しなくてよいと思います。ただ、ガイドラインに準じて、内服開始前には歯科受診して、歯科外科治療が必要かどうかは先に診てもらった方がよく、すぐにビスホスホネート製剤が内服できない場合はその期間はSERM製剤を内服するなどして対応するのが良いでしょう。また、とてつもなく稀に大腿骨に非定型骨折を起こすことがありますが、大多数の一般的な大腿骨骨折を予防するのが目的なので、非定型骨折は仕方ないというのが骨粗鬆症治療の現状です。

デノスマブ製剤:プラリア
半年に1回の皮下注射です。ビスホスホネート製剤以上に強力に破骨細胞の働きを抑えるため、骨密度上昇は顕著で、5年以降もさらに骨密度が上がり続けると言われています。しかし、他剤に変更すると途端に骨密度が大幅に下がるというデメリットも言われており、止め時が難しい薬でもあります。効いているのであれば、一生使っていればいいのかもしれません。顎骨壊死のリスクはビスホスホネート製剤と同じです。
半年に1回薬価2.8万円(3割負担で8千円)くらいしますが、ビスホスホネート製剤半年分よりは安いかもしれません。

テリパラチド:フォルテオ、テリパラチドBS、テリボン
骨粗鬆症治療薬のうち唯一骨芽細胞の働きを促進させ骨をどんどん作らせます。骨粗鬆症の中でも「骨折の危険性の高い骨粗鬆症」限定の薬で、一生のうち2年間限定で保険適応になっています。皮下注射で、フォルテオとテリパラチドBS(2019年発売フォルテオの類似品)は毎日、テリボンオートインジェクター(2019年発売)は週2回の自己注射になります。テリボンは週1回通院での皮下注射もありますが、フォルテオを1週間分まとめて打つのに近いので気持ち悪いなどの副作用が出やすくなっています。フォルテオに関しては副作用は少なく、骨折後の骨癒合促進効果もあるのではないかとされています。薬価は月50000円程度で1割で5000円、3割で15000円程度です。

ロモソズマブ製剤:イベニティ
2019年に承認となった薬剤で、2019年4月現在の骨粗鬆症治療薬の中では最も効果がある製剤と言われていますが、投与期間中の心血管疾患による突然死との因果関係が否定できていないため心血管疾患の既往のある方は避けた方がよいと言われています。毎月1回1年間、両肩に皮下注射をします。こちらもテリパラチドと同様「骨折の危険性の高い骨粗鬆症」に限定して保険適応となっています。骨粗鬆症治療薬で唯一、骨吸収を強く抑制しつつ、骨芽細胞の働きを促進する薬剤のため、骨密度の上昇は他のどの薬剤よりも顕著です。1年間使用したら、ビスホスホネート製剤などの骨吸収薬に切り替え、必要に応じて再投与が可能です。薬価はテリパラチドと同程度です。


当院では全ての骨粗鬆症治療薬を採用し、骨粗鬆症で悩まれる方に数多くの治療選択肢を提供致します。


骨粗鬆症は高血圧、高脂血症、糖尿病などの生活習慣病と同じで、それ自体には無症状ですので、いかに早期発見し、骨折・入院することにならないように治療ができればと考えております。骨粗鬆症は治すことが可能な時代になってきましたので、是非当院院長に一度ご相談下さい。

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